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高校野球の投手の投げ過ぎを心配する人は何を心配しているのだろう  ~ 選手の将来? どんな将来? ~ [ヨモヤ]

史上最高と言われる猛暑の中、甲子園大会が行われている。
ずいぶん心配する人がいるようだが、
夏の甲子園が夏に行われるのは昔から決まっていることで、
夏の甲子園が暑いのはみんな知っていることで、
勝ちたいと思うチームはそのための対策をしっかりとっている。
それでもしんどいことはしんどいだろうが、今に始まったことではない。
若者を妙に心配する大人が増えたのは、今に始まったことではないだろうが。

大会8日目に行われた愛媛県の済美高校と石川県の星稜高校の試合は、大接戦の末、史上初の逆転サヨナラ満塁ホームランで決着がついた。
(といってもタイブレークなので、史上初といってもそれほどピンと来ないが)
この試合、劇的なラストと合わせて、済美の山口投手が延長13回を一人で投げ切り、球数が184球に達したことが物議を醸した。
ベースボールチャンネルというサイトでは、
「済美・山口の184球は『熱投』か。美化すべきでない異常な球数、問うべき投手起用のあり方」
と題した記事が掲載された。
なぜか、元大阪府知事の橋下徹氏もこの記事に乗っかり、以下のようにツイートされた。
「投球数制限は直ちに導入すべき。こんな不合理・非科学的なことをやり続ける国は、前近代的野蛮国家だ。さらに練習日数・練習時間制限を導入して、決められた練習時間でいかに結果を出すかを切磋琢磨させるべき。」

ふむ。
大人の皆さんは、球児の身体を心配してくださっているのだろう。
多分。
何故だか知らないけれど。
また、先に書いたように、高校球児たちは、夏の甲子園に備えて準備に準備を重ねているのだが、大人の方々から見れば、未熟で可哀そうな、守ってあげなければならない存在に映っているのだろう。
きっと。

しかし、甲子園で燃えずにどこで燃えるべきというのだろう。
肩を大事にして、その肩を一体いつ使うべきと思っておられるのだろう。
将来がある、とよくおっしゃるのだが、一体全体どんな将来を想定されているのだろう。
プロに入るのは、本当にごく一握りだから、大学や社会人でのプレーを心配してくださっているのだろうか?
そうした舞台が、甲子園より大切だと思っておられるのだろうか?
正直なところ、全く理解ができない。

私は橋下さんのファンだが、今回のツイートはすとんと落ちない。
投げ過ぎは「不合理・非科学的」とおっしゃっているのだが、高校野球は合理的なものではないし、もちろん科学からはほど遠い。
不合理・非科学的なものが、それだけで悪いとも思えない。
合理的・科学的なスポーツを見たいとも思わない。

かつては、延長25回とかいう試合があり、この試合両チームの投手は完投している。
それを美化しようとも思わないが、それに耐えられなくなった大人が増えたのだろうとは思う。
球児ではなくて。

そういうこととは違う、という批判はもちろんあるだろうが、投げ過ぎを心配する声を聴くたびに思うのは、
「怪我を恐れるのなら、スポーツなんかせずにおうちにいればいい」
ということである。
選手たちは、いろいろなものを背負って戦いの場に立っている。
彼らは、おうちにいることをよしとしなかった。
そして彼らは、弱くない。

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