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映画評 「明日の食卓」 [映画評]

「石橋ユウ」という同じ名前の息子を育てる3つの家族の日常が、
それぞれの事情により壊れていく様を描く作品。

映画のHPを見ると、
『石橋ユウ、10歳。
同じ名前の息子を持つ3人の母親たち。
だがある日、ひとりの「ユウ」君が母親に殺された―』
とある。
こう書いてあれば、3人の母親のうちの誰かが殺したものと思う。
しかし、映画は意外な展開を見せる。
その展開は、どんでん返しの面白さでもなく、意外性があるわけでもなく、
単に質の悪いミスリード。
本作に限らず、
予告編やHPなどで誤った情報を流すプロモーションは止めてもらいたい。
誰も得しない。
プロモーションのつもりが、映画自体を傷つけている。
作品を貶めている。
恥を知っていただきたいと願う。

本作は、映画そのものも残念な出来。
瀬々敬久監督は、前作の「糸」にはうならされたが、今回は打って変わった出来栄え。
「64-ロクヨン-」でも、面白かった「前編」に続いて、おやおやの「後編」を作られたように、
波が大きいのが特徴でもあろうか。

3つの家族は、
裕福だったり、貧乏だったり、都会だったり、田舎だったり、
いろいろな設定になっている。
しかし、それがあまりにもステレオタイプ。
何度も聞いたことがあるようなようなセリフばかりで、
観ているこちらはどんどん白けてしまう。
子役たちの演技も全くはまらず、しんどいばかり。

3つの家族の母親を演じるのは、菅野美穂さんと高畑充希さんと尾野真千子さん。
3人ともしっかり演じられていたが、この脚本と演出ではどう頑張ってみても。
ラストシーンも、「は?」という感じで、最後までいいところは見当たらず。

「明日の食卓」は、残念な出来栄え。
かなり振り切って描いているのだが、振り切っているだけといった体。
作家性も感じられないし、奥行きも伝わらない。
このところいいことばかりで、少しは悪い気分も味わいたい、
時間を無駄にする感覚を味わいたい、
という奇特な貴方ならご満足いただけるかも。

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