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映画評 「ハナレイ・ベイ」 [映画評]

「ハナレイ・ベイ」は村上春樹さんの短編を原作とした映画。
村上さんの作品は大方読んできたような気がするのだが、本作を読んだ記憶はない。

短編小説を2時間弱の映像作品に仕上げているため、映画はゆったりと流れる。
寝不足の状態で観に行ったら、意識を飛ばされる可能性が高い。
私はこの映画の空気感が嫌いではなく、比較的すんなり楽しむことができたが、それでも意識が遠くなりそうな瞬間があった。
観に行かれる方は、体調管理にご注意を。

本作は、
「サーフィン中の事故で一人息子を失ったシングルマザーが希望を見出す姿を描く」
という作品だが、じっとりした感じはない。
村上作品らしい、乾いた諦念めいた時間が流れる。

シングルマザー役を吉田羊さん。
いつもながらの好演だが、時間の流れに沿った容姿の変化がないのには違和感。
綺麗なまま描きたかったのかも知れないが、時の経過を感じることができなかった。
若い頃は若い容姿で、数十年経った後は、それにふさわしい姿で演じてほしかった。
亡き夫との回想シーンも全く不要だった。

息子役に佐野玲於くん。
人気者なのだろうが、「虹色デイズ」でも全くピンと来なかった。
今作でもやはり伝わってくるものがなく、私には合わないようだ。
違うキャストだったら、映画のイメージも変わっていたと思う。

ハワイで出会う若い日本人サーファーを演じたのが、村上虹郎さんと佐藤魁さん。
村上さんは、いい役者さんになりそうな雰囲気を持っている。
今作でも、印象的だった。
佐藤さんは、現役のプロサーファー。
テラスハウスにも出ていたらしいのだが、セリフがあり得ないくらい素人っぽい。
しかし、この映画の中では、それがほのぼのとしたいい味になっていた。
たまたまだが。

「ハナレイ・ベイ」は静かな時間が流れる。
子どもを持つ経験をした人に、より伝わりやすい作品だと思うが、全体になんとも不思議な映画だった。
メジャー作品らしからぬ。

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