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想像より早かったRIZAPの成長の壁   ~ 早期の膿出しで立ち直れるのか、これまでなのか ~ [経済を眺める楽しみ]

「結果にコミットする」
でおなじみのRIZAPが、業績を大きく下方修正した。
2019年3月期は赤字に転落する見込みであるという。

RIZAPと言えば、ここ数年はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった。
著名人を使った印象的なダイエットCMで注目を集めて本業をグイグイ伸ばすとともに、
業態を問わない企業買収を続け、
みるみるうちに大きな会社になっていった。
2014年からの売上高の推移を見ると、その尋常ではない成長ぶりがよくわかる。
 2014年:239億円
 2015年:391億円
 2016年:539億円
 2017年:953億円
 2018年:1362億円
このわずかな期間に、売り上げを6倍近くに伸ばしているのだから、目を瞠る。

マスコミも、RIZAPの経営手法に注目していた。
ジーンズメイトをはじめ、それまで不振だった企業が、RIZAP傘下に入った途端に再生していく様子を報じていた。

一方、不振企業を次々に買収する理由として、
立て直して相乗効果を生み出す、
という表向きの理由のほかに、
業績の悪い企業を帳簿価格より安い値段で買収することにより、「負ののれん代」を一括して利益に計上することができるため、これを狙っているのだ、
との意見もあった。
実際、2018年決算における利益額の半分以上は、この「割安購入益」で上げたものとされている。

こうした手法による利益のかさ上げは、違法なものではないし、しっかり立て直していけるのなら問題ない。
しかしそうならないとすると、
利益の額は会計上のバーチャルなものに過ぎなくなり、
経営上の重荷をどんどん抱えている、
という負の遺産を抱えて込んでしまうことになりかねない。

瀬戸社長の懐刀として迎え入れたはずの、
前カルビー会長兼CEOの松本晃氏が、経営陣との関係がギクシャクしてCOO職を外れるなど、
内部もガタガタしているようだ。

今回の業績の下方修正で、いったん膿出しが終わるのだとすれば、この停滞も悪いものではない。
むしろ成長神話が止まったここからが本当の勝負ともいえる。
RIZAPの正念場は、思ったより早く来た感はあるが、危機がない企業もない。
きっと多くの人に言われていることだろうが、まずは、自社の経営にコミットするとことから始めるしかない。
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