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映画評 「ボヘミアン・ラプソディ」 [映画評]

個人的に、こそこそとバンド活動をやっている。
わんさと人が見に来てくれるわけではないが、それでもライブも前は不安になる。
そこで、ロックの神様にお願いする。
ロックの名曲を聴きながら。
それは例えば、
エリック・クラプトンの「レイラ」だったり、
レッド・ツェッペリンの「胸いっぱいの愛を」だったりする。
クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」も、私がロックの神様を呼び出すときの定番。
奇跡的な名曲だと思う。
同名映画が作られると聞いて、前から楽しみにしていた。

映画は、クイーンのボーカル、フレディ・マーキュリーの伝記とでもいったような内容。
伝記と言っても子供の頃からを描くわけではなく、成人してからの姿ではあるが、要所で出自にかかわることも示される。
知らないことも少なくなかった。
彼らがスターダムに駆け上がる様は痛快だし、
曲作りの様子も実に楽しい。
表面的なきれいごとではなく、
フレディの小さな愛にこだわる真摯な気持ちも、
性的な放埓さも、
人気絶頂を迎えながら孤独に苛まれていくさまも、
しっかり表現されている。

映像も美しい。
気を行き届かせ、
手を抜かずに作られていることがよくわかる。
この執念を、日本映画も参考にしてほしいと思う。

誰もが感じるだろうが、圧巻は最後のライブシーン。
まさに生でクイーンの演奏を見ているかのような錯覚にとらえられる見事さ。
自然に顔がほころび、なぜだか泣けてくる。
この映画は、日本を含め、世界的な大ヒットとなっているようだが、それにふさわしいラストの20分間である。

細部にまでこだわったいい映画だと思うが、フレディの内面をもう少し描き切れていれば、真の傑作になっただろう。
いい映画と名作には、目に見えない壁がある。
本作は、それを超えるまであと一息だった。

「ボヘミアン・ラプソディ」は、クイーンファンはもちろんだが、それを超えてロックファンなら絶対に楽しめる作品。
音楽に包まれた素敵な時間が過ごせる。
ロックの奇跡に包み込まれる。

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