SSブログ

プレミアム付き商品券の意味は? 目的は?  ~ 「恒例の」漂流を始めている景気下支え策 ~ [経済を眺める楽しみ]

いまだに
「消費税増税が景気に与える影響は軽微」
などとおっしゃる経済学者さんもおられるが、過去2回の引き上げ時の混乱とその後の景気低迷を見ると、とてもそうは思えない。
ひょっとして、諸外国ではあまり影響が出ないのかもしれないが、日本は消費税増税に向かない国のようだ。

そこで、景気下支え策を打つことになるのだが、毎回これも的を外してしまっている。
過去の反省をもとに、今回は万全の態勢を取ろうとしておられるようだが、漏れ伝えられているプレミアム付き商品券に関する検討状況からすると、同じような轍を踏んでしまう危機感を覚える。

ここまでで報道されている内容は以下のとおり。
・プレミアム付き商品券は、2019年10月の消費税率引き上げと同時に実施
・額面に上乗せする金額は全国一律(2万円の購入金額に5000円を上乗せする案を軸)
・購入できる年収上限を400万~500万円程度に限定
・有効期限は19年10月以降の1年半

今回予定されている引き上げ幅は2%であり、前回より小さいが、それでも駆け込み需要はあるだろう。
そこでそれを和らげるために消費税率引き上げと同時に実施する。
時期については妥当だと思う。

しかし、上乗せ金額を一律にするのは、地方分権・地方創生の流れからはどうだろう。
自治体に任せるとバラツキが出るが、それが地方創生の姿でもあると思う。
国が一律にやるのなら、国が自分の責任でしっかりやるべきである。
政策の中身は国が勝手に決め、手間がかかる部分だけを自治体を手足として使うやり方は、時代がすっかり巻き戻ったように思える。

購入できる年収上限を設定することについては、その意味がよくわからない。
プレミアム付き商品券を発行するのは、景気の落ち込みや個々の商店の売り上げの減少を緩和するためであろう。
であれば、販売する量のボリュームを出さなければ効果がないのに、年収で区切れば必然的に購買量も減ってしまう。
低所得者対策だとすれば、一過性の商品券に意味があるとは思えないから、どっちつかずの政策になっているように思える。

有効期限が1年半というのもあまりにも長い。
死蔵されることを狙っているのか、などと勘ぐられかねない。

消費税を引き上げれば、景気にマイナスの影響を与えるのは間違いないので、なんとかその影響を緩和しようとするのは必要な策だと思う。
しかし、ここまでに出されている対策は、どうにも中途半端なものが多いように映る。
過去2回の反省をもとに、狙いを絞った対策を打つべきだと思うのだが、いろんな綱引きの挙句、悪いところが抽出されて生まれてきているように見える。
「三度目の正直」というより、「二度あることは」、になりそうな嫌な予感がする。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事