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映画評 「鈴木家の嘘」 [映画評]

「鈴木家の嘘」は、2018年第31回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門に出品され、作品賞を受賞した映画。
メガホンは、これが劇場映画初監督作となる野尻克己さん。
初監督作で賞を獲ているとなれば、かなり面白い作品であると期待するのが普通だろう。

自殺という重いテーマを扱いながら、予告編はなにやらコメディ仕立て。
得体の知れなさも相まって、期待はさらに高まった。

しかし、映画において、期待はほとんどの場合裏切られる。
本作もご多分に漏れず。
シリアスなストーリーに、
ところどころユーモアが挟まるのだが、
どちらも空回り。
心に届かず、
笑えもせず。
一体、何をどうしたかったのだろう。

新体操やら、
ソープランドやら、
アルゼンチンやら、
蝙蝠やら、
毒蝮やら、
エピソードてんこ盛りなのだが、それぞれが個別にぷかぷか浮かんでいるだけで、統一感も収束感もない。
悲しいことに、オチもさっぱりはまらない。
この作品が東京映画祭で評価されたというのが、なにやら信じがたい。
よかったところを探そうとするのだが、かなり頑張ってもうまく思いつけない。

岸部一徳さん、原日出子さん、加瀬亮さんと、なかなかの芸達者が集まっているのだが、この本と演出ではいかんともしがたい。
大森南朋さんの演技もすっかり浮いている。

とはいえ、私以外の人がどう思うかはわからない。
実際、ネットでの評を読むと、「よかった」という方もおられるようだ。
新進監督の意欲作であり、是非多くの人に観てもらいたいという気持ちもある。
ただし、期待値は低めで。
出来うる限り低めで。

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