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映画評 「麻雀放浪記2020」 [映画評]

「彼女がその名を知らない鳥たち」「孤狼の血」「止められるか、俺たちを」
と野心作を次々に発表している白石和彌監督が、麻雀放浪記を撮る。
原作の「麻雀放浪記」は、日本を代表するピカレスク文学の超傑作。
1984年に公開された和田誠監督による映画は名作としての誉れ高い。
映画ファンなら、誰しも心が躍るはずだ。

しかし、公開に先立って聞こえてきたのは、次の二つ。
一つ目は、なんと言ってもピエール瀧さんの出演シーンをカットしないということ。
正直なところ、この件に関しては個人的にはほとんど関心も持てなかったが、世間はここにかなり注目した。
二つ目は、映画が酷いということ。
あの名作の続編にして、トンデモ映画になってしまっているというのである。
いや、まさか白石監督が、そんな外し方をするかな。
んなわけが・・・。

この映画に関しては、観ないという選択肢が私にはなく、評判が悪かろうが決意に揺るぎはなかった。
評判は悪くても観たら案外いいかもしれないと楽観した。
しかし、評判どおりであった。
映画は観る人それぞれで感想が違うものであり、酷い酷いと言われる映画が案外楽しめたりするものだが、この映画は、おそらく誰が観ても酷い。

ぶっ飛んだ設定にぶっ飛んだ内容になっているのだが、少しも刺さってこない。
トンデモを狙ったのかもしれないが、狙ったトンデモは単に外れの映画になる。

主演の斎藤工さんは熱演しているが、坊や哲らしくはない。
前作と比べられるような位置づけの映画でないから気にしても始まらないが、どうして哲があんなにワーワー騒いでいるのだろう。
この映画に構想10年関わってきたというのだが、ちょっと信じられない。
ヒロイン役にチャラン・ポ・ランタンのももさん。
と言っても、この人のことを知らない。
キャスティングの意味も全く不明。
その他、竹中直人さん、ベッキーさん、岡崎体育さんらが出演。
岡崎さんの怪演ぶりが評価されているようだが、まあ、はい。

「麻雀放浪記2020」は、あんまりな映画。
白石監督作品だからと楽しみに観に行ったりすると、落ち込んでしまうかもしれない。
映画の内容からヒットすることもないだろうが、観に行かれる方はいろいろ織り込んでからにされたい。

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