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経済団体は「終身雇用は守れない」というが、定年さえない国もいくつもある [ヨモヤ]

日本型雇用慣行の三種の神器などと呼ばれたのが、
<終身雇用><年功賃金><企業別組合>
の三つである。
しかし、国際競争が厳しくなっているなかで、
<年功賃金>は、大幅な見直しを余儀なくされた。
いいんだか悪いんだかわからないながら、<企業別組合>は温存されているようだが、
<終身雇用>も先行きがあやしい。
というのも、
経団連と大学側が、今後の新卒採用について話し合っているなかで、経団連の中西宏明会長が
「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです」
「人生100年時代に、一生一つの会社で働き続けるという考えから企業も学生も変わってきている」
との認識を示されたからである。
企業側から言ってしまうと身も蓋もないような感じはするが、それが現実なのだろう。

しかし、世界を見ると、定年制が禁止されている国も少なくない。
競争が厳しいから終身雇用は難しい、というだけでは先が見えないし雇用者側の責任を果たせているとも思えない。
そのあたりのことも含めて企業側と大学側が話し合っていることを願いたい。

雇用を考える際には採用をセットに考える必要があり、
終身雇用の是非について議論するならば、新卒一括採用の習慣を見直すべきだろう。
新卒一括採用にもいいところはあるのだろうが、
たまたま卒業の年の就職状況が悪かったというだけで一生しんどい、
というのはあんまりである。
4年間ある大学生活のうち、後半2年間をまるまる就職活動に費やすのももったいない。

海外から日本に来られている方に話を聞くと、
大学を卒業してから何年間か世界中をふらふらしていた、
という人が多い。
それが就職に不利になることが全くないのだろう。
正直、うらやましいな、と思う。

雇用者側は、「終身雇用は守れない」とあきらめてはいけない。
人生100年時代であり、60歳以降も能力を活かしていただく必要がある。
むしろ時代は、長期雇用に向いているのである。
もちろん、技術革新などで余剰となった人員は見直していかざるを得ないだろうが。

学生側、大学側も新しい採用形態・雇用環境に慣れる必要がある。
一括採用を止め、いつでも門戸が開いているということは、
いつでも退出を迫られる可能性があるということでもある。
入った会社にしがみつかない覚悟もいる。

若者が減り、
寿命が延びていく、
という状況で、どのような雇用形態がいいのか。
一人一人の生き方にも関わる重大な課題である。

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