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映画評 「長いお別れ」 [映画評]

ほとんどの映画ファンがそうだと思うが、私は蒼井優さんが好きだ。
「花とアリス」や「フラガール」のように、主演でももちろん輝かれるが、
「東京喰種トーキョーグール」や「ミックス」のように、脇で出ても、その存在感は格別である。
「オーバーフェンス」や「彼女がその名を知らない鳥たち」での女優魂の炸裂もすさまじい。
山里さんとの結婚会見も好ましいものだった。
是非、結婚後も、女優であり続けていただきたい。

映画「長いお別れ」は、そんな蒼井優さんの最新主演作。
いつものとおり、素敵な演技を見せてくれた。

監督は、「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太さん。
蒼井さんとのコンビに期待しないわけにはいかなかったのだが、
ううむ。
悪い映画ではないと思うが、期待値からすれば、正直残念。
もっともっと遠いところに連れて行ってくれるものと思っていた。

映画の内容は、
「認知症の影響で徐々に記憶を失っていく父と、彼と向き合う家族を描く」というもの。
認知症の父を山崎努さん、その妻を松原智恵子さん、
娘役を竹内結子さんと蒼井優さんが演じる。

山崎さんの演技はさすがだし、
蒼井さんもいつもどおりのクオリティ。
竹内さんもキュートであった。
しかし、何か足らない。
若しくは、何かが過剰だった。

「湯を沸かすほどの熱い愛」ではキリッとしていた中野監督の演出が、本作では今一つはまらない。
エピソードもバラバラで、高揚していかない。
ラストに用意されていたシーンも「?」だった。

「長いお別れ」は、なんだかもどかしい作品。
いい映画であるのかもしれないが、道徳の教材的に「いい」という感じで、
映画的にグサグサ刺さる作品ではない。
山崎努さんと蒼井優さんの演技を見るだけでも一定の価値はあると思うが、
あまり期待値を高め過ぎると肩すかしを食らう。
結婚御祝儀のようなつもりでどうぞ。

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