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言葉を狩ることは言論自身が自殺するようなもの  ~ 岩井志麻子さんの発言を巡って ~ [ヨモヤ]

ある新聞のウェブサイトに、
“ 関西テレビのバラエティー番組「胸いっぱいサミット!」で、作家の岩井志麻子氏が韓国人の気質について「手首切るブスみたいなもの」とリストカットする女性にたとえる発言をしていたことがわかった。インターネット上などで差別発言として批判の声が上がっている。”
との記事が掲載されていた。

一部の新聞社によくあるタイプの記事で、
「自社からは差別的とは言わないがネットではそういう声もある」
というもの。
類似した例に、
「今後、問題視される可能性がある」
というパターンもある。
記事に取り上げている時点で、その新聞社としては「問題にしてほしい気持ち満々」なのだが、
あくまでも自分ではない誰かが問題化しようとしているという立場に立とうとされる。

岩井さんの発言の内容は、概ね以下のような内容である。
番組中、慰安婦問題に絡んで2月に上皇さま(当時は天皇陛下)に謝罪を求めた韓国国会の文喜相議長をめぐる議論をめぐって、司会から
「岩井さんは、ご主人が韓国の方ということで、韓国人気質というものは分かっている?」
と問われ、岩井さんは
「この間も言いましたけど、とにかく『手首切るブス』みたいなもんなんですよ。手首を切るブスという風に考えておけば、だいたい片付くんですよ」
「(韓国が)『来てくれなきゃ死んじゃうから、死んだらあんたのせいだから』って言って、中国とか北朝鮮は『死ねば』と言っちゃうけど、日本は『そんなこと言うなよ、お前のこと好きなんや』(と言っちゃう)」
とおっしゃったというのである。

残念ながら私は岩井さんのことをよく知らないが、
司会の言葉にあるとおり韓国の方と結婚されていて、さらに
「日本人よりも韓国人の男性と付き合った数の方が多い」
のだそうだ。

さて、今回の、
「韓国は『手首切るブス』みたいなもの」
という発言は、どのあたりが差別的なのだろう。
岩井さんに韓国に対する差別感情がないのは明らかだから、韓国に対してではないだろう。
となると、ブスに対してだろうか。
「韓国に例えるとは、ブスを差別している」
ということなのだろうか。
まさか、そうではないだろう。
手首を切る女性に対して配慮が足りない、ということかもしれないが、その場合は差別とは言わないだろう。
では、「ブス」という表現自体が女性差別というのだろうか。
しかし、岩井さん自身女性であるし、ブスという表現はかなり一般化されている。
ブスが駄目なら、「デブ」も「ハゲ」も駄目だろう。

新聞報道を受けてなのか、関西テレビは早々に謝罪してしまった。
「差別的な意図はない」
と判断したものの、
「多様な感じ方をされる視聴者の皆さまへの配慮が足りず、心情を傷つけてしまう可能性がある表現であり、そのまま放送するというのは誤りだった」
「視聴者の皆さまへ申し訳なく思い、反省し、今後は多様な皆さまへの人権の配慮といった放送の価値を重んじられる番組作りをしていきたい」
とされたのである。

どうやら、誰か一人でも傷ついたと言い出せば、
それで
「すみませんでした、もうしません」
ということであるらしい。
その程度の覚悟で番組を作られているのだとすれば、こちらが何を言うものでもないが、
情けない話ではある。
また、出演された岩井さんも大変お気の毒である。

言論自身が言葉を狩るということは、非常に重いことだと思う。
よほどのことでない限り、するべきではないと思う。
しかしまあ、それもこちらがしゃかりきに言うことではないのだろう。
言論サイドで勝手に狩り合っておられるのだから。

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