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映画評 「海獣の子供」 [映画評]

映画はわかりやすくあってほしい。
こねくり回した映画は苦手である。
その一方で、映画にはとんがってほしいとも思う。
作り手が作りたいままに、言いたいことを言い尽くしてほしいとも思う。
花火が上がって、文化祭があって、時空にずれがあって、クリスマスに雪が降る映画ばかりなのは、
わかりやすくても悲しい。

「海獣の子供」はアニメ映画である。
アニメである以上、狙っている年齢層は低くなるのが普通だと思うが、
この映画、難解であると評判である。
そしてそれゆえに、賛否が分かれている。
わかりやすい映画が好きな私だが、ひとつ挑戦してみようと思った。

滑り出しは、青春映画っぽく進む。
突然、「シェイプ・オブ・ウォーター」のような展開になって驚くが、
前半はテンポよく進み、少しも難解ではない。
しかし、途中から評判どおりのわけのわからなさに。
意図して抽象的にしている部分と、
あまり意味のない設定や登場人物のせいでわかりにくくなっている部分が重なり、
観ている側は混乱する。

映像は美しい。
最初から最後まで。
久石譲さんの音楽も、映像に合っている。
だから、意味がわからなくても、嫌になることはない。

主役の女の子の声を芦田愛菜さんが演じている。
芦田さんの顔がちっとも浮かんでこなかったのは、声優として成功であろう。

「海獣の子」は、私には中途半端に映った。
難解でもなんでも、伝えたいことを伝えたい方法で伝えたのなら、
それはそれでいい。
しかし本作の場合、ちょこちょこと余分な設定があり、
そこが興を醒めさせる。
振るんなら振らないと。

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