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中国の人口減少がもたらすもの [ヨモヤ]

フィナンシャル・タイムズ(FT)紙が、中国の人口が50年ぶりに減少したと報じた。
FT紙は、イギリスの経済紙。
本来、国の統計情報は、その国のしかるべき筋から発表されるのが筋だが、
今回はそれを待たずにスクープ的に報じられた。
なんでも、中国において人口統計は非常にセンシティブな問題であり、
政府各部門の総意がなければ発表されないのだそうだ。
統計が大切なのは確かだが、総意がなければ発表されないというのは、
本当にそのとおりだとしたら、ちと首を傾げる話ではある。
中国のことなので、意外性は全くないが。

今回の報道の根拠となっているのは、10年に1度実施されている国勢調査。
もともとは4月初めに発表する予定になっていたようだが、それが遅れている。
FT紙は関係者の話を取材し、今回の報道につながったようだ。

しかし、この報道に反論する形で、中国国家統計局が人口は増加したと表明した。
「われわれの理解では、2020年に人口は引き続き増加した」
と言うのだが、比較の対象がいつ時点かといった詳細は、昨年の調査結果公表時に明らかにする、としている。
理解では、というのも、なんとも不思議な表現である。
こうした対応を見ても、中国において「人口が減る」ということがいかに大きなことなのかがわかる。

従来の予想では、中国の人口は2027年頃にピークを迎えるのではないか、とされていたらしい。
多過ぎる人口が減少に転じるのは悪い話ではないと感じる人も多いかもしれないが、
人口が増えることは成長の原動力である。
人口が減ることは若年層の減少を意味し、
活力が減退するということのほか、
高齢者を支える財源にも支障をきたすことになりかねない。
人口減が本当なら、こうした先進国が直面している課題に、中国も向き合うことになる。

今回は、何十年ぶりもの人口減少なのでこうした騒ぎになっているが、
中国でも人口減少が当たり前の光景になることが見込まれている。
そうなったとき、これまでどおりの成長を続けられるのだろうか。

中国は、日本をはじめ、先進国が陥ったいろいろな罠をしっかり研究して、
対策を練っているという。
人口減少への対策にも余念がないだろう。
しかし、準備をしたからといっていつも問題が起きないとは限らない。

人口の伸びが止まったとき、中国も低成長の罠に囚われるのか、
それともしっかり克服するのか。
どの国にとっても他人事ではない。

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