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おそらく誰も信じていないプライマリーバランスの目標達成 [経済を眺める楽しみ]

国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)については、
「2025年度に黒字化する」
という目標が掲げられている。
コロナ禍に伴う税収減と歳出拡大で、目標達成は一層厳しさを増しているが、政府は従来目標を据え置く方針のようだ。
首相も
「財政健全化の旗を降ろさず、これまでの歳出改革努力を続けていく」
とおっしゃっている。

しかし、この目標を達成できると信じている人は、政府の中にもそれほど多くはないのではないか。
いや、財務省の中にもほとんどおられないのではないか。
これまで繰り返し繰り返し先送りされてきたうえ、
現在の試算も、3%以上という成長が続き、歳出削減も進む、
という、ちょっとありえなさそうな前提でなされているからである。

それをわかっている経済同友会は、
現状並みの経済成長では2050年度でも赤字のまま、とする試算を発表した。
2025年どころか2050年も赤字、というのである。
同友会は、赤字のままでいい、と考えているわけではなく、
「現実的な目標が必要」という立場である。
そして、赤字解消のための具体的な方策として、
東日本大震災の際に実施した復興特別会計や復興特別税といった仕組みを提案している。

コロナ対応で日本と同じように大規模な財政出動に踏み切ったアメリカでは、
法人税の引き上げが検討されている。
日本でも、もしPBの達成を本気で考えるのなら、
かなり思い切った政策が必要になるだろう。
そして、それは非常に不人気な政策であり、景気にも冷や水をかけることになるだろう。
それでも目標達成にこだわるべきなのかどうか。

案外、これまでどおり、
目標は掲げつつ、ズルズルと未達成という状況がもっとも心地よいのかもしれない。
市場にも、景気にも、政治的にも。

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