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日銀が目標を示したからこそ評価もできる ~ 物価上昇率は未達だが ~ [経済を眺める楽しみ]

日銀が金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の維持を決めた。
また、2021年度の物価見通しを0.1%上昇とし、前回に比べ0.4ポイント引き下げた。
さらに、新たに公表した23年度の物価見通しは1%であり、
23年4月までの黒田東彦総裁の任期中に2%の物価上昇率目標は達成できないことを認める格好にもなった。

記者会見で黒田総裁は、
2%の物価上昇という目標を達成できていないことについて
「時間がかかっており、そのことは残念だ」
としたうえで、
引き続き緩和を続けていくことを表明された。

黒田総裁は2013年に就任されており、当時、
政策を総動員し、
2年程度で物価上昇2%を達成すると明言されていた。
それが10年近く経っても果たされていない。
このことについて、責任を追及する声も少なくない。

日銀のトップという金融政策の最高責任者が、達成を明言したことであり、
それが果たされないことについて批判されることはやむを得ない。
そうした声が上がることは当然であり、きちんと答える必要がある。

一方、黒田総裁以前の日銀のように、
「金融政策にできることには限界がある」
と自分から予防線を張り、
できなかった時の批判を恐れてか、目標を設定しない、
という姿勢が正しいとは思えない。
そうしていれば目標が達成できないときの批判はされないし、
思うように経済が進まなくても、政府側の責任にするのはたやすいかもしれない。
しかし、日銀側の保身となる以外のメリットはないと思える。
市場にもその弱気は見透かされる。

黒田総裁は、今に至っても、
「2%達成のために必要なら、ちゅうちょなく追加緩和する」
とおっしゃる。
そうは言っても2%達成は難しいだろうが、実際に追加緩和があり得ることから、
金利の上昇や円高の抑制に寄与している面はあるだろう。
そして、正直なところ、
物価は横ばい、
金利はべたべたの超低空飛行、
円は110円くらい、
という水準が心地よいことも否めない。

ここまでの金融緩和策が、ある意味「ツケ」のような形でこれから悪影響を及ぼす可能性は否定できない。
しかし、金融緩和に一定の効果があったことも事実であろう。
目標を達成していないことやマイナス面しか指摘しないのでは、評価とは言えまい。

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