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特別定額給付金による一律給付がもたらしたもの [経済を眺める楽しみ]

マスコミ報道やコメンテーターの皆さんの発言を鵜呑みにしていると、
コロナ禍によって国民はおしなべて窮乏化し、
明日をも知れない状態に陥っている、
と思ってしまいそうだが、統計的にはそうなっていない。
もちろん、苦しい生活を強いられている方もおられると思うので、そうした方への配慮は必要だが、
一般論として日本人全体を見たとき、
報道内容と実態は全くかけ離れたものになる。

総務省が発表した2020年度の家計調査によれば、
可処分所得は前年度に比べ実質4.0%増えた。
減ったのではなく、増えた。
また、
所得に対する貯蓄の増加の割合を示す平均貯蓄率は35.2%と前年度比3.2ポイント上昇した。
つまり、
所得が増えて、
消費が減り、
貯蓄が増えた、
というのが家計全体の実態である。
試算によれば、家計は36兆円もの現預金を積み上げたとのことである。
コロナ禍で、家計は貧しくなったのではなく、富が増えたというのが統計的事実であるようだ。

定額給付金の狙いは、
苦しくなっているだろう家計を助けること、
沈みがちな消費を活性化すること、
といったものだったと思うが、そのとおりにはならなかった。
昨年のあの時点では、定額給付金という政策を行うことはやむを得なかったと思うが、
その後の経緯を検証すると、期待どおりの効果は得られていないと言わざるを得ない。

社会実験としては壮大過ぎるが、いいサンプルが得られたという面もあると思う。
今後の政策にしっかり活かしていきたいものである。

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