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映画評 「ベイビーわるきゅーれ」 [映画評]

本作は、今年の7月に公開された。
大きな話題になったということもないし、
口コミでヒットが広がったという話も聞かない。
私もなぜか観に行かなかった。

年の瀬になり、いくつかの映画館で本作を上映している。
改めて映画評を読むと、かなり好意的な内容が多い。
んじゃ、行ってみようか。
で、行ってよかった。

グシャっとつづめて書くと、
「女子高生の殺し屋コンビの日常と戦いを描くバイオレンスアクション」
となろうか。
二人は、普段は今時のゆるい女子高生なのだが、稼業はガチな殺し屋で、
映画の中でも数多くの殺しを実行する。
冷酷な姿と、日常のユルユルダラダラのギャップが見どころである。
それだけなら類似品は少なくないが、アクションシーンの評価も高い。

グダグダな日常とアクションのギャップという点では、岡田准一さん主演の「ファブル」を、
ユーモアと犯罪の境目のない結合という点では、タランティーノの「パルプフィクション」を、
それぞれ思い出させる。
女子高生が主役であり、メイド喫茶などが舞台となるのは日本的ではあるが、
これまで見たことも無いようなオリジナリティが光っている作品ではない。
しかし、十分に楽しめる。
主人公以外の登場人物についてもキャラクターをわかりやすくしっかり立たせているので、
すっと物語に入れる。

ダブル主演は、高石あかりさんと伊澤彩織さん。
高石さんはガンアクションを、伊澤さんは格闘系のアクションを担う。
高石さんは、舞台版の「鬼滅の刃」で禰豆子役を演じられた。
本作の中で、一瞬だけそのパロディが映る。
伊澤さんは、女優というより女性としては珍しいスタントパフォーマーとして活動されている。
これからますます活躍される方だと思う。

「ベイビーわるきゅーれ」は、日本製バイオレンスアクションの佳作。
この路線をやりたがる方は少なくないと思うが、成功させるのは難しく、その意味で希少である。
続編を観たい気がするが、一回限りだからこそいいのかもしれない。
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M-1 久し振りのハッピーエンド [ヨモヤ]

誰が悪いというわけではないけれど、去年のM-1はこれまでで最低の大会だったと思う。
笑えるコンビはほとんどいなかったし、審査員のコメントも空回りした。
コロナ禍で舞台から離れていたことが最大の原因だろうが、
本来決勝に出るべきコンビの多くを敗者復活に回してしまった選球眼の狂いも要因の一つだと感じた。

今年も不安を持ちながら見たが、1組目の「モグライダー」が暗雲をはねのけた。
1組目はいろいろな面で圧倒的に不利なのだが、そのハンデを乗り越えて、笑いの神様を降臨させた。
ファイナルの3組に残ることはないと思ったが、大会を盛り上げるうえで、彼らの果たした役割は非常に大きかった。

2組目は、なにをやらかすかわからないということで、注目度ナンバーワンだった「ランジャタイ」。
ハチャメチャやっていたが、もうひとひねりどこかにあれば。
しかしそれがあっては「ランジャタイ」ではないか。

3組目は、「ゆにばーす」。
M-1は、漫才に熱い芸人に優勝してもらいたいと思っていて、その意味で「ゆにばーす」の優勝を祈った。
しかし、思いが強過ぎるためか、なんとも固く、重い。
もっと幸せなネタを作ってきてほしい。

4組目は、敗者復活枠。
私は、「金属バット」が上がってくるのを願ったが、惜しくも2位。
1位で勝ち抜いたのは「ハライチ」だった。
しかし、彼らは敗者戦で時間をかなり超過していたし、ネタ自体も後半かなり失速していた。
贔屓目もあるが、「金属」に上がってきて欲しかった。

さて「ハライチ」であるが、これが面白くなかった。
本人たちは気持ちがよかったのかもしれないが、私は全く楽しめなかった。

5組目は、「真空ジェシカ」。
ほぼ初見の彼らだが、やたらと面白かった。
一つ一つのボケがスポンスポンとはまり、最初から最後まで笑わせていただいた。
すごい点数が出るかと思ったが、意外と点数は伸びず。
評価の低さに、ちょっとびっくりした。

6組目は、「オズワルド」。
優勝候補と目されていた彼らが、実力どおりに会場を沸かせた。
漫才らしい漫才で爆笑させるのは、まさに腕。

7組目は、「ロングコートダディ」。
設定が面白いうえに、肉うどん、ラコステ、といった言葉も可笑しかった。
しかし、上位3本に入るにはややパンチ不足。

8組目は、「錦鯉」。
ほとんど笑えなかった去年の大会で、唯一といっていい笑わせてくれたコンビ。
キャラがわかってしまっているだけに、去年より面白いということはなさそうに思えたが、
あにはからんや。
爆笑の連続。

9組目は、「インディアンス」。
個人的にはあまりはまらないのだが、しゃべりの力は凄い。

10組目は、「もも」。
このコンビもほぼ初見だったが、しゃべくりだけでやり遂げようとする覚悟が気持ちよかった。

1本目を終わり、
1位通過が「オズワルド」。
2位が「錦鯉」。
3位が「インディアンス」。

ファイナルは、残念ながら3組とも1本目より笑いの質量ともに下がってしまった気がした。
なかで「錦鯉」は、爆発力のある笑いがあったし、大オチもよかった。

優勝は「錦鯉」。
2本とも面白く、
2本目は1本目とは違うタイプのネタで、
2本目がファイナルの3組でいちばん面白く、
応援したいと思わせてくれるコンビの優勝、
といった条件をクリアし、まさにハッピーエンドであった。
審査員ももらい泣きする感動劇。
おめでとうございます。

M-1には夢がある。
ブラジル人がサッカーにかけるような、
イギリス人が音楽にかけるような、
大きな夢がある。
その夢を一緒に見させていただけて、こちらも幸せであった。
芸人の皆さん、審査員の皆さん、司会のお二人、スタッフの皆さん、
本当にお疲れ様でした。
来年も、よろしくお願いいたします。

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映画評 「あなたの番です 劇場版」 [映画評]

ドラマの映画化には否定的な意見が少なくない。
一部の純粋な映画ファンは嫌悪に近い感情さえ抱いているようだ。
私は、観てみなければわからないので先入観なしで観る派だが、確かに失敗作も珍しくない。
いや、珍しくない、というよりほとんどか。
酷いな、と思うこともしばしばである。

ドラマを映画化した多くの作品を観て感じたことだが、
まず前提として、
ドラマ作品を映画化される方のほとんどは(全員ではないとかすかに信じたい)、
傑作映画を撮るつもりは、はなからないのだと思う。
ドラマファンが楽しめればいい、
話題となってお客さんが入ればいい、と思っておられるのだろう。
すごい映画を作って、世の中をひっくり返してやろう、とか、
永遠に残る一発を放ってやろう、とか、
魂の一撃を観る者に刻み付けてやろう、とか、
そんなことは思いもされていないのだろう。
映画ファンとしてはちょっと残念だが、まあ、仕方がない。

この映画、ドラマを観ていた人なら楽しめるのだろうか。
映画だけ観た私からすれば、
「もったいないなあ」
という気持ちが募る。
これだけのキャストを集めて、
それなりにお金もかけている感じだから、
なんとでもやりようはありそうなものなのに。
せっかく映画を撮れるのに、ホントもったいない。

何の予備知識もない私からすれば、序盤はそれなりに楽しめる。
どんなミステリーが仕掛けられているのか、興味が湧いた。
あくの強い登場人物たちが、この後どんな振る舞いをするのか楽しみに待った。
しかし、段々騒ぎは大きくなるものの興はガンガン冷めていき、
最後はあららら~。
ちゃんとしたミステリーを作ったら何か不都合でもあるのだろうか。
作り込まれた謎解きをしたら何か悪いことでも起きるのだろうか。
しっかりした映画を作ったら誰か困る人でもいるのだろうか。

出演は、原田知世さん、田中圭さんが夫婦役を演じられるほか、
西野七瀬さん、横浜流星さん、竹中直人さん、木村多江さん、生瀬勝久さん、
奈緒さん、浅香航大さん、坪倉由幸さん、門脇麦さんなどなど。
この映画では誰一人として輝こうにも輝けない。

「あなたの番です 劇場版」は、ドラマファンからの集金映画。
これで80分くらいの作品ならちょっとは救われるのだが悲しいかな142分。
救われない。

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2021年締めくくり ポーンポさんが来ったぞ~ [映画評]

2021年の邦画は不作だったと思う。
おそらく、2年にわたるコロナ禍で、映画制作にも大きな制約があったのだろう。
映画を撮ること自体が大変なことだったのだと推察する。
しかし、事情はともあれ、良作が少なかったことは残念である。

そんななか、キラキラ輝いた作品が「映画大好きポンポさん」。
小規模な上映数で始まり、
口コミでじわじわ広がった。
大ヒットとまではいかなかったが、見た人には強い印象を残したはずだ。
今年観ておくべき一本であると思う。

といっても、ロードショー期間が終わってしまった映画をどうやって観ればいいのか。
レンタルか、ネットか。
いや、できれば劇場で観てほしい。
ポンポさんのように、映画への愛を表現する作品は、劇場で観ないと楽しさが半減してしまう。

そんなとき、名画座がある。
名画座なら時期を過ぎた映画が観られる。
そして、名画座には目利きがおられる。

まずは新文芸坐さん。
12月18日は、オールナイト3本立。
『2021年の傑作!!』と題して、
「映画大好きポンポさん」「漁港の肉子ちゃん」「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」
が届けられる。

そして、目黒シネマさん。
12月25日から31日までの間、
『~2021年しめくくりのアニメが目黒にきったぞー!~』
と題して、
「映画大好きポンポさん」「漁港の肉子ちゃん」の2本立て。

ポンポさんと肉子ちゃんを一緒に観られるとは、なんと素晴らしい年末のプレゼント。
この一年、いいことがあった人もそうでもなかった人も、
是非この2作を観て、幸せに年を越していただきたい。

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映画評 「彼女が好きなものは」 [映画評]

原作は、浅原ナオトさんの青春小説「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」。
この作品は、同名タイトルで漫画化されたほか、
「腐女子、うっかりゲイに告る。」のタイトルで、NHKでドラマ化もされた。

公開されているあらすじをまとめると、

“妻子ある同性の恋人と付き合っている主人公である男子高校生は、ゲイであることを隠して日々を過ごしていた。ある日、書店で同級生の女子がBL漫画を買うところに出くわし、それをきっかけに二人は交流を深める。
やがて女子が告白に至り(腐女子がうっかりゲイに告る)、主人公も恋愛感情は持っていなかったものの、異性と交際し、周囲と同じような人生を歩めるのではないかと思い、付き合うことにする。
二人は関係を深めていくが、やがて大きな破綻が訪れる。”

といった感じ。

なんとも言えないもやもや感のなかで映画は進み、
中盤から後半にかかるあたりで、もやもやが一層深くなる。
ここ数年、同性愛を描く映画が非常に多くなっていて、本作もその流れの中の一作だが、
まだそんなところにいるのか、と思わされる浅瀬感。
現実はそうなのかもしれないけれど。

しかも途中から、なにやら、文部省特選の道徳映画っぽくなってしまう。
クラスで話し合いしたりなんかして。
その話し合いの光景も、絵に描いたような道徳映画展開。
道徳映画が好きな方もおられるとは思うけれど。

後半、一気に盛り上がるシーンがある。
そこも好き嫌いが分かれるところだろうとは思うが、
少なくともグワっと盛り上がる。
私は楽しめた。
途中、ダルいな、と感じられる方も、終盤に山があるのでなんとか耐えていただきたい。

主演は、神尾楓珠さん。
ゲイ役は誰にとっても挑戦になると思うが、本作では演出・脚本で損をしている気がする。
共演に、山田杏奈さん。
秋に観た「ひらいて」に続く難しい役だが、正面から立ち向かわれていた。

「彼女が好きなものは」は、エンタテインメントにまで達しきれていない感がする作品。
もう少し踏み込むか、内面に切り込んでもらえないと、深く届いてはこない。
テーマも描き方も、
「まだそのあたりなんだ」
という驚きに近いものを感じた。
それならそれで仕方がないとしても、
もう少し別のやりようもあるのではないかと思った次第である。

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「天国にいちばん近い島」が揺れている [ヨモヤ]

先日、ニューカレドニアにてフランスからの独立を問う住民投票が行われた。
こうした投票が行われれば、通常はナショナリズムが高まって接戦になるはず。
しかし、ネットニュースの見出しを見ると、
「ニューカレドニア、仏からの独立 圧倒的多数で否決」
とのこと。
へえ、そんなことあるんだ、と記事を読み進めると、
独立賛成票は、なんとわずか3.5%だったという。
確かに圧倒的である。

ニューカレドニアの独立の是非を巡っては、あらかじめ3回の住民投票を行うことが決まっていて、
今回が最後の3回目。
この結果を受けてフランスのマクロン大統領は、
「住民はフランスへの残留を選択した。彼らはそれを自由に決定した」
「長年にわたり分断が続いたことは無視できない。これから移行の時が始まる」
とおっしゃったという。

しかし、独立賛成が5%以下とはあまりにも差があり過ぎる。
ちょっと違和感を覚え、他の記事も読んでみた。
すると、まったく違う様相が見えてきた。

まず、過去2回の投票結果だが、
独立賛成票は1回目(2018年)が43.3%、
2回目(20年)が46.7%とかなり拮抗していたようだ。
この流れからすれば3回目は間違いなく接戦になるはずで、3.5%などということがあるわけはない。

どうやら今回は、投票を実施したこと自体に疑義があるようだ。
独立賛成派が多い先住民カナクの方々は、新型コロナウイルス感染拡大とそれにより多数の死者が出たことを受けて、
12カ月間の服喪期間を設定し、住民投票を延期することを求めていたのだという。
「服喪期間」とはあまり聞かない言葉だが、そういう慣習が島にはあるらしい。
独立反対が93%だったとのことだが、
そもそも賛成派は投票をボイコットしていたようだ。
43%という低投票率がそれを物語っている。
独立推進派の方は、
「われわれにとって、これは3回目の住民投票ではない。合法的な住民投票は18年と20年の2回のみだ。今回の住民投票はフランスの投票であり、われわれの投票ではない」
と述べている。

3回までと決められている大切な住民投票の3回目を、
どうして強引に行ってしまったのだろう。
もちろん言い分はあるのだろうが、禍根を残してしまったことは間違いない。

ニューカレドニアと言えば、日本では「天国にいちばん近い島」として知られている。
美しく、平和な島というイメージがあるが、
どうやらのんびりとしてばかりはいられそうもない。

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企業や市場や投資家を信じないのが新しい資本主義? ~ 自社株買いの規制に「?」 ~ [経済を眺める楽しみ]

12月14日の後場で、株価が大きく値を崩す場面があった。
下げの理由としては個々の企業の事情が中心だが、
「自社株買い規制に関する総理の発言が影響しているのではないか」
との見方も出された。

この発言は、衆院予算委員会において、立憲民主党の落合貴之議員の質問に対してなされたもの。
落合議員は、
「企業が利益を株価を上げることばかりに使うのは問題」
「自社株買いを規制すべき」
と質した。

これに対し岸田首相は、まったくそのとおりと肯定されることはなかったものの、
「多様なステークホルダーを重視し、持続可能な新しい資本主義の実現に向けて大変重要なポイントだ」
「ガイドラインか何かは考えられないだろうかとは思う」
と答えられた。
趣旨に賛同したと受け取れる内容であろう。

自社株買いは、個々の企業がどのように利益を取り扱うかを考え、経営判断として実施するものである。
利益を減らしてでも設備投資を行うか、
先を見越して人への投資を行うか、
配当を厚く出すか、
などなど、いろいろな選択肢の中から行われる。

競合他社が積極的に投資している時期に必要な投資を行わず自社株買いばかりを行っているような企業は、
競争に破れ、最悪の場合、市場からの退出を余儀なくされるだろう。
一方、当面有力な投資案件がない場合、自社株買いや配当によって利益を株主に還元することは一つの見識であり責められる話ではない。

上場企業は、開かれた市場においてその株式が取引され、株主の利益を最大化するために行動する。
「新しい資本主義」では、それすらも否定してしまうのだろうか。
企業や市場や投資家は常に強欲で間違えるものであり、それゆえ政治が上から規制することを善とする。
それが「新しい資本主義」なのだろうか。
そうではないと信じてはいるが。

今回の岸田総理の答弁は、それほど大きくとらえるようなことではないのかもしれない。
一般論として、意味のない自社株買いを戒めたものに過ぎないのかもしれない。
しかし、市場はそこに危ういものを感じたのだろうし、
自分の利害を抜きにして不安になった人も少なくないと思う。
今後、リスクを取る人を罰する方向に政策が流れたり、
企業や株主は強欲で短期的で愚かであると決めつけるような発想が広がったりしないか、
なんだか心配である。

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一進一退5回目の「THE W」 ~ 惨劇には至らないが幸せな夜には遠く ~ [ヨモヤ]

「女芸人No1決定戦 THE W」は、今年で5回目となる。
最初の年は、身の毛もよだつような滑り方で、これは2回目はないかもしれないと思った。
2年目も、血も凍るようなダダ滑りで、さすがに3回目はないのではないかと思った。

しかし、3年目に「3時のヒロイン」というスターを生み出すことに成功した。
ほかにも面白い芸人さんがいて、これはWも進化したのかと思った。
しかし、吉住さんが優勝した4回目は、吉住さん以外は大変にしんどかった。

この番組を見るのは勇気がいる。
うすら寒い3時間を過ごすことになるかもしれないし、
その間、家人に冷たい視線を浴びせられ続けることにもなりかねない。
しかし、お笑いにかけている人たちの姿を見届けたい。
今年も勇気を振り絞って。

そんなムキになって言うことでもないが、審査方法がへんてこりん。
勝ち残り方式なのだが、これでは最初にネタをした組は4連勝しなければ勝ち抜けない。
最後にネタをする組は1回だけ勝てばいい。
えらく不公平。
まあ、別にいいですけど。

審査員は、ヒロミさん、久本雅美さん、アンガールズの田中さん、笑い飯の哲夫さん、
ハイヒールのリンゴさん、友近さん、ミルクボーイの駒場さん。
こちらも、なんとも言えない面々。

一本目では、天才ピアニストというコンビのネタが秀逸。
このネタのままキングオブコントに出てもいいところに行けるだろうと思えるレベルだった。

決勝に残ったのは、オダウエダ、Aマッソ、天才ピアニストの3組。
Aマッソは、掴みは余計だったが、全体としては一本目よりはるかによかった。
天才ピアニストは、達者だったが一本目よりは減速。
オダウエダは、ごめんなさい、一本目も二本目もまるでピンと来ませんでした。

採点する立場にいたとしたら、Aマッソと天才ピアニストで迷うだろうなあ、
と思っていたら、優勝はオダウエダ。
ごめんなさい、わかりません。

1年目、2年目の惨劇から比べれば、しっかり見られる芸人さんが増えてきたなとは思う。
少なくとも、身の毛がよだつ感じではない。
ハッピーエンドにはもう少し距離があるけれど。

来年、もっともっと面白い芸人さんが出てきて、
それを上回るネタでAマッソが優勝したら、
心震える幸せな夜になるかもしれない。
来年のことを思えるとは、一歩前に進んだ感もある。

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いつまで経っても誤解の多い内部留保のこと [ヨモヤ]

企業の内部留保が積み上がっていることを問題視する向きがある。
貯めこんでばかりいないで、もっと従業員や社会に還元しろ、
というわけである。
企業側からすれば、どのくらいの額を蓄えるかということはすぐれて経営判断にかかる問題であり、
そうした議論は大きなお世話であろう。
しかし、内部にお金を貯める一方なのに給料は上げない、という状況が続けば、
あれやこれや言われるのもある程度仕方がないことかもしれない。

ただし、内部留保に課税しろ、とまでなると、これはさすがにどうか。
企業が内部留保にしているのは、利益剰余金の部分。
これは稼いだお金から税金を払った残りである。
税金を納めていない企業も少なくない中、
しっかり利益を上げて税金を納めた挙句、
その残りからさらに税を取ろうというのは、あまりにも無理筋であろう。

内部留保については誤解も多い。
一般の人が勘違いするのはやむを得ないとして、
政党の政策でも「なに、この理解?」と思わせられることが多いのは残念である。
さらに、新聞の記事でも、「はて?」と思わせられることがある。
例えば、最近の日本経済新聞でこんな記事があった。

賃上げをすれば、法人税率を軽減するという政策を伝える流れのなか、
『財務省の法人企業統計によると日本企業の20年度の利益剰余金(内部留保)は484兆円と前年度比2%増えた。自民党内から「これを使わない手はない」との意見が出ていた。』
というのである。
これを読むと、
賃上げをすれば内部留保が減る、
若しくは、
企業は内部留保から賃上げ分をねん出する、
と理解されているように思えてしまう。

実際には、内部留保となるのは、すでに書いたように利益から税を引いた分であり、
内部留保を取り崩すのは赤字となるケースである。
今回の政策は、法人税を減らすというものなので、内部留保を減らすものではなく、
むしろ増やす可能性さえある。

日本経済新聞の記者さんが誤解されているとも思いにくいし、
もし書き手が誤解されていたとしてもそれが校閲を通るとは思いにくい。
だから今回の記事も何か別の読み方があるのだと考えたい。
しかし、知らない人が読めば勘違いしてしまうような記事はあまりよくはないだろう。

正しい政策は正しい理解から。
当たり前のことだが、これが大前提である。
新聞をはじめとするマスコミは、事実をしっかり伝えていただきたい。
政治家の方々は誤解を利用するような政策を打ち出すのは止めていただきたい。
ごくささやかな願いである。

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なんだか幼い感じがする「民主主義サミット」 [ヨモヤ]

クラスの中で、
なんか威張っていてそれなりに力もあるがそれほど人望はない子が、
自分の好きな人間だけを集めて、
それ以外の子たちをなんとか仲間外れにしようとする。
アメリカ主催の「民主主義サミット」から、そんな姿が浮かんでしまった。

このサミットのテーマは
1 専制主義からの防衛
2 汚職との闘い
3 人権尊重の促進
の3点とのことである。
それらに異論のある人は多くないだろうが、
この目標を達成するためには、広く参加を呼び掛けるのが筋だろう。
誰でも感じることだが、中国やロシアを仲間外れにするための集まり、というニュアンスが色濃く伝わる。
中国と台湾の関係の複雑さを助長しているかのような面があることに加え、
インド、パキスタン、フィリピンが招待され、
ベトナム、シンガポール、タイが除外されるといった基準もわかりにくく、
これでは招待されなかった国が反発するのも避けられない。
民主主義の良さを広めるための集まりが対立を煽ってしまっているようでは、どうなのだろう。

実際、中国はアメリカの現状について、
・人種差別の問題が根深く存在している
・貧富の格差が広がっている
・民主主義の旗印を掲げて他国の内政に干渉して戦争を行い、かえって混乱を招いてきた
と指摘し、
今回の民主主義サミットについても、
「民主主義の名を借りて、世界における覇権的な地位を守り、他国の内政に干渉し、世界に分裂を作り出すものだ」
と批判している。
それらは当たっている面も少なくないだろう。

中国を、西欧的な概念による民主主義的な国家にしていきたいと本気で望んでいるのなら、
全く別のアプローチがあるはずだ。
今回のサミットは、アメリカと中国の覇権争いの一環であり、
民主主義を広めたい、世界をよりよくしたい、というものとはちょっと違う。
それはみんなわかっている。
招待された国々は、民主主義の大切さはわかっているし、
アメリカとの付き合いもあるので、それなりの気持ちで参加してはいるだろうが、
心から乗ることはできない。

日本がよその国のことを言えた義理ではないが、それでも言うと、
アメリカも中国も、なんだか幼い振る舞いをしているように見える。
いい方向に向かっている感じがしないのが残念である。

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