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映画評 「ずっと独身でいるつもり?」 [映画評]

そう言ってはなんだが、タイトルからしてそそられなかった。
予告編を見たが、一層そそられなかった。
では、なぜ観たか。
監督がふくだももこさんだったからである。
ふくださんの前作「君が世界のはじまり」が大好きだ。
2020年、一番刺さった映画と言っていい。
そんな作品を撮られた監督の作品である。
テーマにピンと来なくても、予告編が「あら?」でも観るしかあるまい。

そして、嗚呼。
予想をはるかに上回る、というのか下回る、というのか、
とにかくアカンやった。
前半がかったるく、
でもひょっとしたら中盤になればと思ったが相変わらずかったるく、
終盤ももちろんかったるかった。

女性たちが結婚するとかしないとか、
家事に夫が協力するとかしないとか、
いつの時代の映画なのやら。
もちろん、結婚や家族は普遍的な関心事であるし、
それぞれが人知れず苦しんでいることもわかる。
しかし、それを今の時代に、そのまんまの形で映画にされても・・・。
男の描き方も女の描き方も、パロディかと思うほどにステレオタイプ。
群像劇のような形でいろいろな女性が描かれるのだが、
共感も反感も持ちようがない。
感情移入できる登場人物がいないのだから、観るのもしんどい。

2021年、酷い映画をたくさん観たが、そのなかでも本作は相当。
2020年に一番刺さった映画を作った監督さんがこれを撮ってしまうとは。
「君が世界のはじまり」は、たまたまだったのかしら、
若しくは、私がいい方に観過ぎたのかしら、
などと思ってしまう。

主演は田中みな実さん。
お綺麗な方だが、脇役的な出演では映えるのだが、主役を張るには何かが足らないように感じた。
主役が映画を引っ張れないのでは、いい作品になりようがない。
ほかの女優陣のみなさんは、どう頑張ってもこの作品では限界がある。
なかで、松村沙友理さんの吹っ切れ方は気持ちよかった。

「ずっと独身でいるつもり?」は残念な映画。
「君が世界のはじまり」を観て期待を高めて劇場に足を運んでしまうと、
2時間しんどい時間を過ごすことになる。
期待感無しに観に行ったとしても、残念なことに変わりはないが。

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