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映画の観方はそれぞれ ~私は『BECK』が大好きだった~ [ヨモヤ]

監督作品50作目にして自主映画を撮られた堤幸彦さんのインタビューがネットに掲載されていた。
堤さんといえば、ドラマに映画にと大活躍されているイメージだが、
インタビューでは弱気な発言を連発されている。
映画の前景気を煽る意味もあり、サービストーク的なニュアンスもあるとは思うが、もちろん本音も入っているだろう。
それはこんな感じである。

「映画は50本目ですけど、はっきり言って僕は素人です。演出を学んだこともなければ、学生時代に映画を撮ったり、演劇をやったりした経験もありません」
「他の優れた日本映画なんかを見るたびに、『自分のやり方にはどこか大きな間違いがあるのでは』と心のどこかでずっと感じていました」
「ネットの評判や点数なんかを見てしまうと、どうしてもね…。そんなことをいちいち気にするなんて、情けないでしょう?」
「僕としては観客の気持ちに応える作品を素直に作っていたつもりが、多くの人にとっては全然そうではなかったんですね」
「ラジオ番組の映画評なんかでも、ずっとボコボコにされてきましたから」

とまあ、ふにゃふにゃである。
さらに、こんな発言を。

「特に酷評されたのは、『BECK』かな。僕はロックバンドの経験もあるので、自分をロック側の人間だと思っていたのに、『ロックじゃない』と評されたのがものすごくショックで」
「『ロックの描き方が記号的で魂がない』とか『この映画のどこに14、15歳でギターを始めた頃のお前の気持ちがあるんだ』と言われたら…すみません。実際その通りだったかもしれない」
「自分をオワコンだと感じるようになったのは、その辺りからです」

ふうむ。
確かに、『BECK』については辛辣な評価が多かったように記憶している。
特に原作ファンは手厳しかった。
しかし、私はこの映画が大好きである。

私はかなり気に入った映画でもリピーターとなることはないのだが、『BECK』は繰り返し観た。
そして、4回にわたって『BECK』に関するブログを書いた。
他の映画で、こんなに繰り返し書いた記憶はない。

映画は観る人によって様々だなあと改めて感じた。
そして、厳しい評価を受けることによって、作り手は大きなショックを受けるということも今さらながら再認識した。
ただし、いいものはしっかり評価し、称える一方で、
つまらないものはつまらない、ダメなものはダメときちんと言うことが日本映画のために意味があることだとも信じている。

「映画大好きポンポさん」で、ポンポさんは、
「自分の直感を信じないで何を頼りに映画を撮りゃいいのよ」
とおっしゃる。
映画を観る側も、
「自分の直感を信じないで何を頼りに映画を楽しみゃいいのよ」
となるだろう。
作り手への敬意は忘れないようにしつつ。

※当時のブログはこちら
映画評 「BECK」
https://matoko.blog.ss-blog.jp/2010-09-04-3
また「BECK」
https://matoko.blog.ss-blog.jp/2010-09-06-1
またまた「BECK」
https://matoko.blog.ss-blog.jp/2010-09-06-2
またまたまた「BECK」 ~コユキの歌声~
https://matoko.blog.ss-blog.jp/2010-09-08-1
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