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映画評 「私はいったい、何と闘っているのか」 [映画評]

本作は、つぶやきシローさんの小説を映画化したもの。
スーパーに勤めるさえないおやじの、職場と家庭での奮闘を描く。

基本、コメディなのだが、残念ながら笑えるシーンはほとんどない。
ただ、劇場で笑っておられる方も皆無ではなかったので、はまる方も一定数はおられるようだ。

お仕事映画かと思いきや、家庭状況もなにやら複雑。
ほのぼのムードとはずいぶん違う展開に、ちと驚かされる。
しかし、その設定があった方がよかったのかというとどうなのだろう。
泣かせるシーンなどもあり、飽きさせない面はあったが、
設定は無茶苦茶。
焦点もぼけ放題になった。

職場の描き方も、残念至極。
妙な人は単に妙なだけだし、
手のひらを返したような態度をする人たちばかりで、
心が温かくなる要素がなかった。
現実はそういうものだと言えばそういうものだが、
そういうものだと訴えたい映画でもなさそうだし。
笑えないうえに、ほのぼのもしないというのだから、
演出の意図がつかめない。

主演は安田顕さん。
今作は内面を独り言で語る演出がされていて、演技のよさが活かされなかった。
奥さん役の小池栄子さんは、演技派女優の地位を固めている。

「私はいったい、何と闘っているのか」は、あちらこちら迷走してしまった作品。
多くの観客が、「私はいったい、何を観せられているのか」と自問することだろう。
観る者にそんなことを思わせてはいけません。

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