驚きも意外性もない北朝鮮による核開発の継続

去年の６月、アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が会談を行った。
アメリカと北朝鮮のトップが直接会うというだけで大きなニュースになるのは当然だが、
２人ともお騒がせの存在であり、
北朝鮮が核開発を放棄するという触れ込みもあり、
「歴史的出来事」と言われた。

しかし、日本人の多くは、
「そんなにうまくいくとは思えない」
と感じていたのではないだろうか。
北朝鮮にとっては、核開発が唯一ともいえる切り札であり、それを最初に切ってくるはずはない。
のらりくらりはいつものことだし、
北朝鮮を攻撃することによるメリットがアメリカにあるとも思えず、
結局状況は変わらないのではないか。
と思った人は少なくなっただろう。
どんなにトランプ大統領が成果を誇ったとしても。

ここに来て、コーツ米国家情報長官が、
「北朝鮮は全ての核兵器と生産能力を放棄しそうにないと私たちは分析している」
と発言したと報じられた。
さらにコーツ長官は、
「北朝鮮の指導者は究極的には核兵器を体制存続のために必要とみている」
「米国や国際社会の譲歩を得るために部分的な非核化について交渉しようとしているようだ」
との見方を示されたという。
はい、ほとんどの日本人はそうなると知っていました。

国連安全保障理事会で対北朝鮮制裁の履行状況を監視する専門家パネルも、
「北朝鮮が核・ミサイル開発計画をやめていない」
とする分析を最新の年次報告書に盛り込むという。
トランプ大統領との会談では、
「朝鮮半島の完全な非核化に向け努力する」
と約束したそうだが、もともとそれを信じた、若しくは信じたフリをしたのはトランプ大統領だけだったのかもしれない。

案の定の展開ではあるが、日本にとって喜ばしいことでないのは言うまでもない。
独裁国家が核兵器を持つというのは、近隣諸国にとっては悪夢である。
北朝鮮は、アメリカと交渉することを願っており、日本人としてはその交渉がうまくいくことを願いたい。
可能性が非常に薄いと知ってはいても。