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映画評 「洗骨」 超オススメ! [映画評]

いつもは、ブログに映画のタイトルだけを載せる。
ごくたまに、タイトルの横に「オススメ!」と書く。
そう書ける作品に出会えた喜びは大きい。

映画「洗骨」は、ガレッジセールのゴリこと照屋年之さんが監督を務められた作品。
先行上映された沖縄でかなりの動員となり、映画評も上々。
どんなものだろうと思って足を運んだ。
正直、半信半疑で。
しかし、これが素晴らしかった。
面白く、興味深く、笑えて、なぜか泣ける。
まだ2019年が始まったばかりで、少々オーバーかもしれないが、年間ベストクラスの作品だった。

ちなみに、洗骨とは、沖縄の離島に伝わる風習で、風葬された死者の遺骨を何年かした後に洗うというもの。
映画では、母の死の4年後に行われることになっていて、そこでの家族模様が描かれている。

お笑い芸人の監督さんらしく、最初のシーンから笑える。
死、葬儀、という厳粛なシーンでの笑い。
厳粛であればあるほど、笑えてきたりするのも誰しも経験があることではないだろうか。
意外と、その境目は薄い。

深刻な話になってもおかしくないストーリーなのだが、
ところどころ笑えるシーンが挟まれる。
それが、無理に入れ込んでいる感じではない。
この演出力、ただものではない。
しかも照屋監督は、脚本も書いている。
おみそれしました。

映画は、未来につながる感じで終わる。
よかった、と心から思える展開である。
それなのに、あれ、なんだ、涙が出そうになってるぞ。
なんの涙だ、意味わからん。
しかも、なんだか、じわじわと。
エンドロールを見ながら、知らないうちに込み上げてくる映画って、はじめてかもしれない。

世にも情けないお父さん役を、奥田瑛二さんが演じる。
とことんみっともない役を、みっともなく好演された。
奥田さんの娘役の水崎綾女さんが素晴らしい。
ちょっとした仕草や言葉も含め、しみじみいい女優さんだと思った。
圧巻は、奥田さんの姉役の大島蓉子さん。
数えきれないほどの映画やドラマに出ておられる方のようだが、私はこれまで意識したことがなかった。
この映画での大島さんは全編をビシっと締める役。
64歳にして、代表作に巡り会われた。
おめでとうございます。
Q太郎さんをキャスティングしたことには賛否があるかもしれないが、私は圧倒的に肯定派である。

ネタバレしたくないのであまり細かく書かないが、とにかく観て損のない映画である。
観ないと損する映画である。
観てよかったと思える映画である。
男にも、女にも、
大人にも、子どもにも。
去年の「カメ止め!」のようなムーブメントになってもちっとも驚かないし、そうなってほしいと願う。
くどいようだが、まだ2月であるにも関わらず、
「今年はこの映画かな」
などと思わせてくれた幸せな時間だった。

「洗骨」の劇場情報はこちらから
https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=senkotsu

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