SSブログ

映画評 「ファースト・マン」 [映画評]

「セッション」でぶっ飛ばされ、
「ラ・ラ・ランド」でニンマリさせられた
デイミアン・チャゼル監督。
そりゃ、新作が公開されたら観に行くしかない。
事前の評価はイマイチのようだが、チャゼル監督に限って外れることはあるまい。

と思っていたのだが、これから観に行かれる方にいくつかアドバイスを。
それは、
1 寝不足の方は厳禁
2 乗り物酔いする人は注意
3 爽快感を求めないでね
である。

私は、張り切ってレイトショーに行ってしまった。
終了が夜の12時くらいになる感じの。
すると、高校時代の古文の授業かと思わせるくらいの睡魔が私にとりついた。
「おいこら、チャゼル作品だぞ」
「しっかりしろ、寒いなか、金払って来たんだぞ」
と自分を叱咤激励するが、この魔はとにかく強力であった。

映画は、パイロットの過酷さにかなり焦点が当たっている。
そのため、画面が揺れる揺れる。
私は通常版で観たが、これが4DXになったらどうなるのだろう。
そういうのがお好きな方には絶好だろうが、乗り物酔いされる方は、ご注意を。

主役がアポロ11号のニール・アームストロング船長であり、誰もが最後どうなるかは知っている。
だから、前半がどれだけしんどくでも、最後でスカッとさせてくれると思う。
しかし、この監督は、そういう甘い展開にはしてくれない。
人類史上に残る偉業を成し遂げたというのに、なんだかほろ苦い。

英雄譚にしてしまうとよくあるものになってしまうし、
監督が成功の苦みや苦しみを描きたくなる気持ちはわかる。
ただ、本作においてそれが成功しているかというと、どうだろう。
映画は、ドキュメンタリーのような描き方が貫かれている。
ドラマチックな盛り上げが極力排除されているのは狙いがあっての演出であるとわかるが、
観ている側は我慢の時間の連続である。
「セッション」のときに味わった緊張感とは明らかに異質であり、
私にはうまくいっているようには思えなかった。

「ファースト・マン」は評価が難しい映画。
しかし、これがチャゼル作品でなかったら、きっと「退屈な映画」と即断していた気もする。
誰だって、百発百中は難しい。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事