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映画評 「星屑の町」 [映画評]

能年玲奈さんには、勝手に恩義を感じている。
2014年に公開された「海月姫」、
2016年に公開された「この世界の片隅に」、
で思い切り心を動かされたからである。
ファンというのとはちょっと違う。
なんというか、恩返しのつもりでずっと見守っていこうと思っている。

だから本作も、能年さん主演ということが私を劇場に向かわせた。
題材も面白そうだったし。
しかし、出来栄えは残念なものだった。
能年さんをもってしても、どうにもできないこともある。

監督は杉山泰一さん。
故森田芳光監督の助監督を務めていた方であり、
その縁で森田さんの傑作「の・ようなもの」の続編「の・ようなもの のようなもの」で監督デビューされた。
「の・ようなもの」が大好きな私は「の・ようなもの のようなもの」を胸躍らせて観に行ったが、
こちらも残念であった。

本作は、
『東北の田舎町を舞台に、地方巡業にやってきたムード歌謡コーラスグループと歌手を夢見る女性との出会いを描く。』
というお話で、歌手を夢見る女性を演じるのが能年さん。
コーラスグループを演じるのは、大平サブローさん、ラサール石井さん、小宮孝泰さん、でんでんさんといった面々。
設定と出演者からは面白くなってよさそうなのだが、あにはからんや。
能年さんの行動の意味がさっぱり伝わってこないし、
おじさんたちの心境にも今一つ共感しきれない。
演技自体に文句はないが。
後半の展開も唐突かつ意味不明。
なんでこんなことになっちゃうの。

「星屑の町」は困った作品。
アイドル映画にもコメディ映画にもご当地映画にも人情映画にも、どれにもなり切れていない。
どこいらを狙ったのかしらねえ。

ただ、テーマ曲は楽しい。
映像も楽しいので、まずはこちらをご覧いただき、
これをスクリーンで観るだけでも価値ありと思っていただけるとありがたい。
https://www.youtube.com/watch?v=hCF6cPkksDc

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