SSブログ

給付金に関するネットの反応で思う [経済を眺める楽しみ]

コロナショックで経済が冷え込んでいる。
仕事に出られなくなってしまった方や、
資金繰りに窮している事業者の方など、
悲鳴に近い声は、今後さらに大きくなっていくのではないだろうか。

一番の対策がコロナを終結させることであるのは言うまでもない。
生活が正常に戻れば、一歩前進することは間違いない。
しかし、日本がよくなっても、世界の感染拡大が止まっていない可能性がある。
モノの流れは寸断されているし、
消費を支えていたインバウンドも、もとに戻るのに時間がかかることが確実である。

そこで、政府による景気対策が待たれている。
今はアドバルーンがポツポツ上がっている段階であるが、そのなかに給付金を配るという意見も出ているようだ。
2009年のリーマンショック時に配られた国民一人当たり12,000円を上回るような額で、
といった報道がなされている。

個人的には、給付金の効果はかなり限定的であろうと思う。
危機的な状況であり、なんでもやっていくという発想の中の一つとしてはわからなくないが、
現金で配っても貯蓄に回る可能性が高く、波及効果が小さいと考えられるからだ。
また、支給に向けた事務手続きは膨大なものがあり、自治体の現場が疲弊することも必至である。

しかし、ネットにあふれる批判の意見にも、今一つ共感できないものがある。
一つ一つ見てみよう。

その1 「こんな状況にしておいて12,000円かよ」論
書いておられる方は「こんな状況に」したのは安倍内閣と思っているのかもしれないが、
今の日本は先進国では唯一といっていいくらいにコロナの爆発を一定程度抑え込めている国である。
結果的に、ではあるかもしれないが、現在の状況は胸を張っていいくらいのレベルになっている。
こんな状況にしたのはコロナウィルスであり、政権を責めるのは筋違いであろう。

その2 「アメリカは10万円と聞いたぞ」論
これに限らず、他国のおいしいところだけを取り出すのは疑問である。
給付金が出ないところもあるだろうし、もっと税金が高い国もある。
普段はバラマキを批判しておいて、こういうときだけ乗ってくるのもどうかと思うし、
よその国と同じだけほしい、という発想もちょっと…。
もちろん、もらえるならたくさんほしいという気持ちはわかるけれど。

その3 「今はお金を配っても使えない状況なんだから、対策が間違っている」論
いや、配るのは、今すぐではないので・・・

その4 「12,000円ぽっちで何の意味がある」論
確かに12,000円で消費が喚起されるかというと、私も疑問である。
ただ、この額がどのくらいなのか、ちょっと消費税と比較してみよう。
例えば、4人家族なら給付額は48,000円になる。
1月に20万円の消費をする家計を想定すると、年間240万円の消費となり、
消費税を24万円納める計算になる。
48,000円は24万円の20%、つまりちょうど8%から10%への消費税増税分である。
消費税増税に猛反対していた人が、12,000円では少ないと言っているとすると、
ちょっと整合性が取れていない気がする。

ただでさえ日本は世界一の借金大国であるが、
今回のコロナショックで、令和2年度の税収は落ち込み、
借金は一層膨らむだろう。
そんな状況で打つ経済対策だけに、できる限り効果が高いものにしたいところである。
いつものメンバーで政策をひねり出しても、失礼ながら結果は見えている。
是非、日本の知恵を結集してほしい。
野党の皆さんも知恵を絞り、いい意見があれば与党もためらわず取り組んでほしい。
手柄争いや票へのつながりを意識している場合では全くない。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事