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FRBが満額回答を出しての暴落はキツイ [経済を眺める楽しみ]

2007年当時、アメリカの政策金利は5%を超えていた。
その後、サブプライムローン危機に端を発した金融不安が広がり、リーマンショックでそれが弾けた際には、
急速に政策金利を下げ、2008年にはほぼゼロ金利とした。
日本のバブル崩壊時の教訓から、迅速に対応した結果であろう。
それから2015年末まで7年間、政策金利はゼロ近辺に据え置かれ、量的緩和も実施された。
アメリカ経済は、こうした金融政策の後押しもあって力強く回復し、株価は市場最高値を付けるに至った。

ゼロ金利、量的緩和、というかつてない金融政策は、バブル発生という副作用とも背中合わせである。
そこでFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)は、2016年くらいから、こつこつと政策金利を上げていった。
とにかく景気がいいままにしておきたいトランプ大統領に厳しく促され、
2019年から再び利下げに転じたが、FRBとしては政策余地を残しておきたいというのが本音だったはずだ。

しかし、今回のコロナショックでは四の五の言っている場合ではない。
ここで、1%の緊急利下げに踏み切った。
それまでコツコツ上げていった金利を一気にゼロにしてしまうのは、断腸の思いだったのではないだろうか?
市場は利下げを求めていて、その幅も1%という声が強かったのも事実だが、
まさにそれに満額の回答を出した。
FRBとしては切れるカードは惜しみなく切ったということになる。

しかし、週明け16日のニューヨーク株式相場は、急反落となってしまった。
ダウの下げ幅は前週末終値比で一時2,800ドル近くに達し、過去最大となってしまった。
その後、多少戻してはいるが、FRBが打てる手を打った翌日にこの下げはキツイ。
もう金融政策でなんとかできる部分はほとんどないということだろう。
トランプ大統領は、FRBのことを痛烈に批判していたが、今やボールは大統領側にある。

やるだけのことをやったアメリカ株が暴落で帰ってきては、日本株もさらなる底を見に行くことになるだろう。
円高が進んでいないのが救いではあるが、小さな救いである。

中国の感染はピークを打ったと言われ、
日本国内も徐々に落ち着きを取り戻している。
しかし、世界の混乱はまだこれからだ。
金融市場のさらなる下落に身構えるとともに、私たちは一人一人ができることをしたい。
地元で買い物をするのもその一つだと思う。
一人一人がやってはいけないことをしないようにもしたい。
買い占めや感染者差別は事態を悪くする一方である。

そして、各国の政策が功を奏することを祈ろう。
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