SSブログ

アメリカの微妙な消費者意識から見る景気の行方 [経済を眺める楽しみ]

6月の米ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は78.9となり、
前月の確定値72.3から6.6ポイント上昇した。
これは2016年以来の大幅な上昇だそうだ。
この指数は、1964年の指数を100として算出し、
速報は300人、確報は500人を対象に調査を行っているのだという。
1964年を100として今が78と言われてもあまりピンと来ないけれど。

指数の上昇は、街に人が戻り始め、企業活動も再開し始めたことが安心感につながったことによるものだろう。
アップダウンはあるものの、総じて堅調な株式市場も下支えとなり、
深刻な不況への警戒心が少し緩んできているようだ。

もちろん、手放しで喜べるような状況からはほど遠い。
回答者の3分の2は、好ましくない経済状況が今後1年続くと予想したという。
調査担当者も
「経済は上向くと予想されているものの、近いうちに好ましい経済状況に戻ると予想する消費者はほとんどいない」
と述べている。

アメリカ経済の強さは、ITなどの技術革新力もさることながら、
なんといってもその旺盛な消費意欲にある。
ここにブレーキがかかると景気自体が腰折れする。
そして、アメリカの景気が腰折れすると、世界景気に暗雲が垂れ込める。
日本経済も、昔ほどアメリカ依存は大きくないと思われるが、それでもやはりダメージを受ける。
その意味では、アメリカの消費者に元気が戻ってきたのは朗報である。

今は厳しくても、半年後、1年後にはしっかりした経済状況に戻っているとみんなが信じられれば、
自然に消費も戻ってくる。
消費が戻れば、経済が力強く回り始める。
そう考えると、感染拡大防止策こそが最大の景気対策と言えそうだ。

ただし、無理に経済活動を再開させて、医療崩壊を招いてしまっては元も子もない。
そのあたりのさじ加減は難しいが、当面は手探りで進めていくしかない。
各国とも、これまでに経験したことのない状況への挑戦である。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事