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過去の作品を狩ることにはつなげたくない ~ アメリカで「風と共に去りぬ」の配信が停止 ~ [ヨモヤ]

アメリカの動画配信サービス「HBO Max」が、
映画「風と共に去りぬ」は「人種に対する偏見を含んでいる」として配信を停止した。
黒人男性が死亡した事件への抗議デモを受けた対応のようだ。
同社は
「作品は、残念ながら、当時のアメリカ社会の風潮だった民族や人種に対する偏見が含まれている」
とコメントしている。

「風と共に去りぬ」は、映画産業を代表する傑作中の傑作とされている。
その作品の配信がためらわれる状況になっている。
人種差別が許されるわけがないし、
アメリカで怒りの炎が燃え上がっているという状況下にあることも理解できるが、
過去の表現物がやり玉にあがるようになるとしたら、実に残念なことである。

文学や音楽や映画といった表現物は、その時代の空気を色濃く映す。
通り一遍ではなく鋭くえぐる。
そして、本当にいいものは時間の淘汰をくぐり抜けて残っていく。
刹那に消えていくものもあるが、それはそれで愛おしかったりもする。

避けたいのは、今の価値観で過去を断罪することである。
「風と共に去りぬ」の配信中止にそこまでの意図はないと思うが、
こうした自主規制が広がってしまうことを危惧する。
あるものをないことにしてとりつくろったり、
過去の作品を現在の価値観に合わないからと否定したりしたら、
表現は委縮するし、貴重な文化財産を失うことにもなりかねない。

人種差別は憎んでも、
過去の表現物を憎むことは避けたい。

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