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映画評 「逃げきれた夢」 [映画評]

本作は、カンヌ映画祭のACID部門に選出された。
この部門は、芸術的な作品を支援するために映画作家たちが創設したものらしい。
確かに本作も作家性を感じさせるものだった。

しかし楽しめたかというと、
これがいやはやなんとも。

登場人物に対して、誰一人感情移入ができない。
わざと平板に描いているのだろうし、
そこが作家性を感じる部分でもあるし、
そうしたかったのだろうとは思うが、
金を払ってこれを見せられても、正直しんどい。
電車に乗って、
金を払って、
しんどい思い。

記憶が薄れていく病気に悩んでいる、的な設定はあるのだが、
そこに寄りかかりはしない。
そこいらも作家性であり芸術性なのだろうけれど、
しんどい。

噛み合わない会話で映画は進行していき、
その噛み合わなさがある意味リアルであり、
作家性なのだろうけれど、
やっぱり、しんどい。

主役の教頭先生を演じるのは光石研さん。
光石さんの演技はさすがだが、この映画ではその巧みさが一層観る者にしんどさを強いる。
妻役に坂井真紀さん。
今年に入ってから、
「ロストケア」「銀河鉄道の父」「水は海に向かって流れる」
と出演作が相次ぐ。
波が来ているのかしら。

いわゆる批評家筋の方は「逃げきれた夢」のような映画が好きなのだろうか。
ネットの評でも、好意的にとらえている方もおられなくもない。
私は決定的に苦手であった。

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