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財政の膨張を批判したくなるのももっともだが一般論では届かない  ~ 全体・個別とも現実に即した議論が必要 ~ [公会計]

来年度予算に向けての各省庁の概算要求が出そろった。
総額が過去最大の102兆円台後半に達したことについては、否定的な見解を述べる新聞も多い。
例えば毎日新聞は、
「過去最大の予算要求 借金漬けを顧みぬ法外さ」
との見出しを付けている。
今回の予算要求は、現在の財政状況をまったく踏まえておらず、「法外」であると強く批判しているのである。

さらに毎日新聞は、
社会保障費を抑えるための数値目標がないこと、
公共事業費に国土強靱化にかこつけた非効率な事業が紛れ込まないか懸念されること、
政権が重視する防衛費も過去最大であること、
など、概算要求の問題点を挙げている。

これらはよく指摘される事項でもあるが、ではどうすればいいかとなるとあまり具体的な策が見えてこない。
例えば社会保障については、高齢者の数が増えるなか、医療・年金・介護の費用をどのように削減していくのか、その道筋は闇の中である。
公共施設が老朽化し、災害が激甚化しているなかで、公共事業をどのように減らすのか、
現在の国際環境のなかで防衛費を削減すべきなのか、すべきとすればどこに手を付けるのか、
などの項目についても、感情論ではなく、現状と数字をもとに議論を進めたいものである。

加えて毎日新聞では、
「消費増税で国民に負担を求める以上、無駄を徹底的に省かなければならない。」
と主張されている。
これももっともなようではあるが、増税に合わせて歳出をカットすると、二重の景気抑制策になってしまう。
このことは、日本経済に大きなダメージになりかねない。
よく「アクセルとブレーキを同時に踏んでいるよう」という表現があるが、この場合は、「フットブレーキとサイドブレーキを同時に踏んでいるよう」な感じではないか。

確かに、国が膨らませ続けている負債はあまりにも大きい。
均衡予算を求めたくなる気持ちも十分に理解できる。
しかし、一般論では届かない。
具体策付の対案を示さないと、言っているだけ、になってしまう。
それでは変わらない。

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