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映画評 「響-HIBIKI-」 [映画評]

小説家になりたかった。
いや、今でもなりたい。
文章を書いて、本も出させていただいたりしているが、それとは違う欲求である。
小説家になりたい。

映画「響-HIBIKI-」は、天才小説家が主人公である。
観ているうちに、小説家になりたいという眠らせていた欲求が首をもたげた。
人にそう思わせるだけの力がある、いい映画だった。

本作は、欅坂46の真ん中にいる平手友梨奈さんが映画初出演される作品であるから、アイドル映画的な見られ方をするのは仕方がない。
しかし、それを理由に食わず嫌いをするのは実に惜しい映画である。
ビデオ化を待たず、是非劇場でご覧いただきたい。

直近に観た「累 -かさね-」という映画は、漫画原作の悪い面が浮き出てしまったように思えたが、
「響-HIBIKI-」は、漫画原作のいい面がどしどし出ていた。
荒唐無稽な話なのだが、漫画らしく中途半端ではない荒唐無稽さであり、いっそ清々しい。
展開の突飛さやスピード感も、心地よかった。
もちろん、ツッコミどころは山ほどあるし、リアリティには欠ける。
ただ、この映画の疾走感の前には、そんなものはどうでもいい。

平手友梨奈さんに、この役はピタッとはまった。
演技がうまいとかなんとかではなく、この役には平手さんである。
そう思わせたのだから、このキャスティングは大成功。
脇を固める北村有起哉さん、柳楽優弥さん、小栗旬さんらがなかなかいい味。
響とのコントラストを奏でていた。
同級生役のアヤカ・ウィルソンさんも健闘。

大抵の映画は、短ければ短いほどいいと思う。
いい映画でも、もう少し短ければと感じることが多い。
しかし、この「響-HIBIKI-」に関しては、もっと観ていたかった。
是非続編を作っていただきたい。
しかも、平手さんがみずみずしい早いうちに。
終わった瞬間に、続編を観たいと思わせる映画も珍しい。

平手さんのファンには必見の映画だが、そこに閉じてしまうのは惜しい。
多くの人に観ていただきたい映画である。
続編を待ちたい。
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