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書評 「一発屋芸人列伝」 [読書記録]

一発屋が好きだ。
もちろん、継続して人気がある人も嫌いではないが、はかなくもおかしい一発屋の味わいはなんとも捨てがたい。
『一発屋』という言葉からして好きだ。
一発屋の中でも、歌手より芸人が好きだ。
もてあそばれ、消耗され尽くす哀しさが胸を締め付ける。(というほどでもないが)

本作「一発屋芸人列伝」の著者は、山田ルイ53世。
お笑いファンの方ならピンとくると思うが、髭男爵の髭の方である。
ちなみに、相方はひぐち君。

残念ながら、髭男爵は、一発屋というほどは売れていない。
自称でも、0.8発屋。
しかし、文章はじつにうまい。
芸人の腕を活かした比喩の巧みさに加え、要点を「パン、パン」と伝える潔さも心地いい。
一発屋芸人の顛末を0.8発屋の芸人が書くというだけで魅力的なのに、ルイ53世の筆力が面白味をさらに増させている。
ルイさんの他の本も読んでみたくなった。

本書で取り上げられているのは、
レイザーラモンHG
コウメ太夫
テツ and トモ
ジョイマン
ムーディ勝山
天津・木村
波田陽区
ハローケイスケ
とにかく明るい安村
キンタロー。
といった面々。
ねづっち(Wコロン)・ヒロシ・楽しんご・ダンディ坂野・小島よしおなどは入っていないが、全ての一発屋を取り上げるわけにもいかないから、このくらいで十分だろう。
(正直、ハローケイスケさんは知らなかったが、なかなか興味深い方だった)

皆、元気そうで何よりである。
いろいろあるのだろうけれど、誰にだっていろいろある。
10年後も20年後も、ふと世間に気まぐれに思い出されたときに、元気な姿を見せてもらいたい。
もちろん、そんなに長く潜らなくても、ふいと復活されるのも大歓迎である。

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