SSブログ

映画評 「3D彼女 リアルガール」 ~ 観に行った私が悪いのか ~ [映画評]

オタクの男と可愛過ぎる女子との恋愛。
正直、珍しくもなんともない設定。
成功例としては「電車男」が挙げられるだろうが、こうしたギャップ恋愛は少女漫画では定番中の定番。
それでも面白くできないわけではない。
楽しめる娯楽作品に仕上げられる可能性は大いにある。

本作も、前半は快調だった。
わかりやすい設定を活かし、飛ばす飛ばす。
「んな奴アいないよ」
という展開の連続なのだが、はじめからリアルな展開など期待されていないのだから、荒唐無稽でいい。
「ないないないない」
と思いながらも、楽しく観られた。

しかし、物語は始めた以上終わらせなければならない。
そのためには山場が必要で、起承転結が求められて、期待の裏切りも必要で、
といろいろ盛りこんでいるうちに、後半は完全崩壊。
「んな奴アいないよ」
ならまだいいのだが、
「それは酷い」
「今までの話はなんだったんだ」
という流れに落ち込み、観ているこちらがいたたまれない気持ちに。
こうなってしまうと、そもそもの設定やそれまでのあれやこれやにも疑問が出てきて、考えだしたら許せなくさえ思えてくるように。
まあ、予想はしていたが。

監督は、英勉さん。
私の大好きな「ヒロイン失格」を撮った監督だが、その後の作品は、「トリガール!」「あさひなぐ」も今一つだった。
「ヒロイン失格」は、振ったところにボールが来た感じだったのだろうか。
こう連続で外されると、「ヒロイン失格、最高!」と言い続けるのもしんどくなってくる。

主演は、中条あやみさん。
ちなみに、ちゅうじょうさんではなく、なかじょうさん。
しっかり役割を果たされていたが、ここまで陳腐な脚本では、さすがに苦しかっただろう。
共演は、佐野勇斗くん。
我が愛する「ちはやふる」で、新入部員の筑波を演じた子。
こうして主演級を飾ってくれるのは嬉しいし、突拍子もない役を懸命に演じていた。
「ちはやふる」組からは、清水尋也さんも出演。
お姉ちゃんが「ちはやふる」に出ていた上白石萌歌さんが、オタクの女子役でいい味を出していた。
萌歌さんは、「未来のミライ」の主人公くんちゃん役を演じられ、これはちょっとあんまりだったが、女優としては未来を感じる。
その他、「咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A」に出ていた恒松祐里さんなど。

そもそも、白髪たっぷりのおっさんが「3D彼女 リアルガール」を観に行く方がどうかしているのかも知れない。
完全にターゲットから外れているはずで、私が楽しめなかったところで、製作者側からすれば、別にどうでもいいことかも知れない。
どんな映画も観てみないとわからないし、どんな題材でも普遍的に面白いものを作ることは可能であると信じているが、こうした映画を観てしまうと、ふっと迷ってしまう。
そうした意味では、考えさせられる映画ではあった。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事