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映画評 「累 -かさね-」 [映画評]

土屋太鳳さんと芳根京子さんのダブル主演が話題の「累 -かさね-」。
土屋さんが演じるのは、容姿は完璧だが、演技がイマイチで芽の出ない女優であり、
芳根さんが演じるのは、顔に傷があるものの、天才的な演技力を持つ女性。
この2人が、謎の口紅をつけてキスをすることによって、顔が入れ替わるという設定である。
まるで漫画のような設定だが、そのとおり、原作は漫画である。

漫画原作を映画にすることについて、私は否定的な考え方を持たないが、あまりに漫画漫画した設定の場合、実写になじみにくいことがある。
本作は、典型的にそのパターン。
登場人物の行動が、誰も彼も漫画チックで、刺さってくるものがない。
そこをうまく見せるのが演出の技だと思うが、今作ではそれは発揮されていなかった。

芳根京子さんが、顔に傷があり、容姿の醜さにコンプレックスを抱えている女性を演じておられるのだが、顔に傷があっても綺麗なものは綺麗であり、どうにも哀しみが伝わってこない。
興行的には難しいのだろうが、本当に容姿のよくない女優さんを使ったらどうなっていただろう。
鍵を握る役で浅野忠信さんが出演されているのだが、浅野さんの芝居も実に漫画チック。
そういう演出なのかも知れないが、興は冷める。
日本版「ブラック・スワン」と評していた人もおられるようだが、腰の据わり方が全く違う。

「累 -かさね-」は、土屋太鳳さんと芳根京子さんのファンの方なら楽しめるだろう。
二人の気合の入った演技は、ファンにはグッとくるに違いない。
綺麗な女性同士のキスシーンが見たい人にももちろんオススメ。
それ以外の人は、遠巻きにしているのが賢明であろうか。

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