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映画評 「SUNNY 強い気持ち・強い愛」 [映画評]

『SUNNY 強い気持ち・強い愛』は、韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』を、『モテキ』シリーズや『バクマン。』などの大根仁監督がリメイクしたもの。
大根監督は、『SCOOP!』もリメイクものであり、気に入った作品を自分流に作り直すのがお好きなのかも知れない。

公開されているストーリーは、
90年代、青春の真っ只中にあった女子高生グループ「サニー」。楽しかったあの頃から、20年以上という歳月を経て、メンバーの6人はそれぞれが問題を抱える大人の女性になっていた。「サニー」の元メンバーで専業主婦の奈美は、かつての親友・芹香と久しぶりに再会する。しかし、芹香の体はすでに末期がんに冒されていた。「死ぬ前にもう一度だけみんなに会いたい」という芹香の願いを実現するため、彼女たちの時間がふたたび動き出す。
というもの。

正直なところ、設定もベタだし、展開もベタ。
「いや、ないないないない」
という予定調和の連続で、リアリティは全くないが、本作はそれでいい。
おとぎ話として楽しむべき作品である。

ところどころミュージカル仕立ての場面があり、大勢が画面狭しと踊り回る。
『ラ・ラ・ランド』のような洗練はないが、これはこれで楽しい。
安室奈美恵さん、trf、久保田利伸さん、小沢健二さん、Charaさん、ジュディマリなどのヒット曲が聴けるのも、あの時代を生きた人間にはうれしい。

しかし、一方で、もう少しなんとかならなかったか、という気もする。
説得力を持たせることを初めから放棄してしまっているかのような人物設定や、
意味不明かつ唐突な展開。
結局カネか、と思わせるオチも残念。
この題材で、このメンバーで撮るのなら、もっとちゃんとできたのではないかと悔やまれる。
ぶっ飛んだ展開でいいのだが、足らないものが多過ぎた。

主演は、篠原涼子さんと広瀬すずさん。
広瀬さんの演技は、ちと漫画っぽ過ぎたが、堅苦しく演じる映画でもない。
その他、小池栄子さん、ともさかりえさん、渡辺直美さん、池田エライザさん、板谷由夏さんらが共演。
小池さんは、すっかり演技派になられた。
少女時代を演じた若手女優の中では、山本舞香さんの目力が目立った。
いつも気になる『ちはやふる』組からは、広瀬さんのほか、肉まん君役の矢本悠馬さんと、ひょろくん役の坂口涼太郎さんが出演されていた。
矢本さんの出番はえらく少なく、坂口さんはわけのわからない役。
二人は現場で広瀬さんに対して、「おう、綾瀬!」とか言っているのだろうか。

『SUNNY 強い気持ち・強い愛』は、惜しい映画。
楽しめることは楽しめるのだが、もう少し先があってもよかった。
作品として評価すると、どうしても粗が目立つが、友だち同士、恋人同士、親子連れ、などで観れば、いろいろな感情が湧いてくる映画でもあるだろう。
一瞬一瞬を、周りにいる人を、そして自分自身を、ぎゅっと大切にしたい気持ちになるかもしれない。
なんだか毎日つまらないなあ、とか思っている人が観たら、いい気分転換になるだろうか。
世界が少し違って見えるかも。

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