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映画評 「寝ても覚めても」 [映画評]

金曜日の日経夕刊に、映画評が掲載される。
私は、これを読むのを楽しみにしている。
「カメラを止めるな!」を知ったのも、ここの記事だった。
★の数で評価されていて、満点が★5つ。
さすがに5つはそうそうないのだが、本作「寝ても覚めても」がそれを獲得していた。
ネットのレビューではそれほどの評価はされていないのだが、いつも参考にしている日経さんがそうおっしゃるのなら観に行くしかあるまい。

結果、今作の場合、ネット評の方に軍配を上げたくなった。
★5つは、「今年有数の傑作」にのみ与えられるはずなのだが、傑作というよりはトンデモに近い作品だった。
まあ、トンデモにはトンデモの良さがあり、直ちに否定するものではないが、傑作にはほど遠いと思えた。

原作は、同じ顔をした二人の男の間で揺れ動く女性を描いた柴崎友香さんによる恋愛小説で、野間文芸新人賞受賞作品。
しかし、おそらく映画はかなり別のニュアンスになっていると思う。
細やかに描く、というより、なんともわちゃわちゃした展開で、ちょっと笑ってしまった。

2時間の映画だが、大きな、しかし、かなり予想どおりな展開を見せるまでに、大半の時間を費やす。
なくてもいいと思えるようなエピソードやシーンの連続。
引っ張りに引っ張っての大技なのだが、「そうなるだろうなあ」という想定の範囲内なので、驚きはない。
「んな奴ぁ、いないよ」
「何これ、どういう設定?」
という呆れはあるものの。

主演の唐田えりかさんは、大抜擢の起用。
関西弁が不自然であるだけでなく、ほぼ全編が片言のようなセリフ回し。
しかし、これはこれでいいのかと思えた。
うまいか下手かで言えば、もちろんうまくはないのだろうが、本作でははまっていた面もあった。
二役を演じたのは東出昌大さん。
いろいろな映画でいろいろな役を演じておられる東出さん。
本作でも、ヘンテコリンな役をしっかり演じておられた。

「寝ても覚めても」は、不思議な映画。
まっとうな恋愛映画を予想していくと、「オイオイ」となる。
佳作を期待しても「アレ?」となる。
映画的にはアリな展開だし、楽しめなくもないが、奇をてらい過ぎている感じがちとしっくり来ない。
意味不明の演出も多々あり。
でもまあ、世の中って、不思議なもんですから。

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