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映画評 「鈴木家の嘘」 [映画評]

「鈴木家の嘘」は、2018年第31回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門に出品され、作品賞を受賞した映画。
メガホンは、これが劇場映画初監督作となる野尻克己さん。
初監督作で賞を獲ているとなれば、かなり面白い作品であると期待するのが普通だろう。

自殺という重いテーマを扱いながら、予告編はなにやらコメディ仕立て。
得体の知れなさも相まって、期待はさらに高まった。

しかし、映画において、期待はほとんどの場合裏切られる。
本作もご多分に漏れず。
シリアスなストーリーに、
ところどころユーモアが挟まるのだが、
どちらも空回り。
心に届かず、
笑えもせず。
一体、何をどうしたかったのだろう。

新体操やら、
ソープランドやら、
アルゼンチンやら、
蝙蝠やら、
毒蝮やら、
エピソードてんこ盛りなのだが、それぞれが個別にぷかぷか浮かんでいるだけで、統一感も収束感もない。
悲しいことに、オチもさっぱりはまらない。
この作品が東京映画祭で評価されたというのが、なにやら信じがたい。
よかったところを探そうとするのだが、かなり頑張ってもうまく思いつけない。

岸部一徳さん、原日出子さん、加瀬亮さんと、なかなかの芸達者が集まっているのだが、この本と演出ではいかんともしがたい。
大森南朋さんの演技もすっかり浮いている。

とはいえ、私以外の人がどう思うかはわからない。
実際、ネットでの評を読むと、「よかった」という方もおられるようだ。
新進監督の意欲作であり、是非多くの人に観てもらいたいという気持ちもある。
ただし、期待値は低めで。
出来うる限り低めで。

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どうしたら上達するのか 日本人の英語 [ヨモヤ]

日本人は英語に並々ならぬ関心を持っていると思う。
子どもの習い事として英会話教室に通わせている親御さんはわんさといるし、
英会話スクールもそこら中にある。
本屋に行けば英語関係の本が何冊もあるし、
TOEICや英検といった英語の技能テストも花盛りである。

それなのに、嗚呼それなのに。
日本人の英語は上達しない。

スイスに本部のある国際語学教育機関が88カ国・地域を対象に調べた「英語能力指数」を公表したのだが、日本の英語力は非英語圏で49位。
カテゴリーで言うと、5段階で下から2番目の「低い」と認定されたのだという。

「まあ、昔から日本人は英語苦手だったし」
と思うとしたが、日本の地位は年々低下中なのだという。
おやおや、以前よりさらに悪くなっているのだ。
日本も頑張っているが、よその国はそれ以上に伸びているということなのだろう。

やれることはやっているように見えるだけに、この状況は深刻である。
日本に一番馴染みのある国はアメリカだし、
そこら中に英語を起源とした言葉があふれているのに。
ロックでも歌謡曲でも、
サビはたいてい英語なのに。
商品名も英語ばかりなのに。
それなのに、この現実。
向き不向きで言えば、日本人は英語に向いていないと言わざるを得ない。

しかし、じたばたしても始まらない。
やはり、足元の教育をしっかりしていくしかない。
先生に頑張ってもらうことは当然として、
結果が出ていないのだから、これまでずっと使ってきた教材やカリキュラムも、いったんはリセットするくらいの覚悟で臨むべきだろう。

技術の進歩が続き、翻訳機のレベルも格段に上がってきた。
ポケトークを使えば、当座のコミュニケーションには問題がなさそうだ。
しかし、機械を通したやり取りでは、どうしたって壁ができる。
そうこうしている間に、乗り遅れる。
日本人は英語ができないという事実を前提として、ではどうしたらいいのか。
逃げずに考えていかなければならない。

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冬のボーナスが過去最高とか  [経済を眺める楽しみ]

冬のボーナスが過去最高になる見通しである。
「どこの国の話か」
と思われる方も少なくないだろうが、もちろん日本である。

もちろん、すべての企業が過去最高になるわけではない。
今回の調査結果は、経団連が東証1部上場の大企業についてまとめたものである。
「そうでしょ、ごく一部の企業だけだよ」
と思われる方も少なくないだろうが、ボーナスが増える傾向にあることは事実である。

平均金額にして、95万6744円。
前年比3.49%の増である。
100万円近い金額にもインパクトがあるし、
物価がほとんど上がっていないことを考えると、上昇幅もなかなかのものと言えるだろう。

株価はさえない展開を見せているし、
米中の対立やら先行き不透明感やらで、
景況感も強気一辺倒ではなくなってきた。
そんななか、失業率の低下、賃金の上昇といった形で、国内の雇用がしっかりしているのは大きな下支え材料になる。
移民政策をめぐって国会で議論が盛り上がっているが、それだけの労働力が必要とされる時代になっているということも言える。
職はある、ということだ。

ボーナスなどの景気のいい話が伝えられると、
「一方で、格差が広がっている」
との指摘もなされる。
確かに、それも問題ではあろう。
ただ、特定の人であっても、給料が増えること自体は目出度いことである。
もらっている人の罪悪感を高めず、
あまり先行き不安をあおらず、
素直に喜び、
使える人に使ってもらうのも大切なことかと思う。

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真剣に反省すべき横綱審議委員会の任命責任  ~ 史上最弱と言わざるを得ない横綱を生んだ贔屓の引き倒し ~ [ヨモヤ]

稀勢の里が初日から4連敗し、九州場所を休場することになった。
横綱昇進後11場所で休場が9場所。
15日間取り切ったのが2場所しかない。
横綱としての通算成績が36勝32敗87休。
あまりにも酷いと言わざるを得ない。

横綱昇進前、私は稀勢の里を熱烈に応援していた。
優勝にちょっとだけ足らない歯がゆい場所を繰り返していたが、大関としての強さは十分に誇示していたし、真摯な土俵ぶりにも心動かされた。
しかし、応援している身からしても、横綱への昇進劇は疑問だらけだった。
平成以後に横綱に昇進した力士が、軒並み2場所連続優勝を飾った後の昇進だったのに対し、
稀勢の里だけがどういうわけかポコッと初優勝を遂げたらそのまま横綱になってしまったからである。
実に嫌なものを見せられた気がした。
※横綱昇進時に書いたブログは以下
https://matoko.blog.so-net.ne.jp/2017-01-23

もしあのとき、横綱審議委員会が、真面目な議論をしていたらどうなっていただろうと思う。
次の場所、稀勢の里は連続優勝して、文句なしの昇進をしていただろうか。
それとも、やはりここ一番のもろさを露呈してしまって、結局は横綱に昇進できないままだっただろうか。
どうなっていたのかわからないが、どちらにしても、無理矢理な昇進はさせない方がよかった。

後世の人が稀勢の里の成績を振り返ったとき、
「とんでもなく弱い横綱がいたものだ」
と驚くだろう。
ほとんどの場所を休場し、昇進後の165日間で36勝しかしていないのだから、なんと思われても仕方がない。
それは相撲ファンから愛された稀勢の里の残り方として、あまりにも残念である。
責任は、もちろん稀勢の里にあるが、横綱審議委員会の責めも決して小さくはない。
真剣に反省するとともに、
あの時の決定がこのような結果を生んでしまっていることを切実に受け止めてほしい。

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書評 「奇跡の本屋をつくりたい」 [読書記録]

電子書籍を買ったことがない。
それなりの本好きで、
空いた時間があれば、そうしていなければ損であるかのように本を開くが、
それが紙でないと読んだ気にならない。

Amazonは使う。
本屋にない本もAmazonにはあり、
狙った本をすぐに手に入れようとしたら、リアル書店よりこちらになる。

本屋が好きだ。
はじめての街に降りると、まず本屋を探す。
いい本屋があれば、その街自体の評価が上がる。
困った本屋しかなければ、その街も困った街かと思い込む。
もし、本屋がなければ、本屋がない街と理解する。

本書「奇跡の本屋を作りたい」の副題は、
「くすみ書房のオヤジが残したもの」である。
著者の久住邦晴さんは、札幌にあった書店「くすみ書房」の店主。
「なぜだ?売れない文庫フェア」
「中高生はこれを読め! 」
といった企画が評判を呼び、日本一有名な書店主と呼ばれた時期もあったという。
久住さんは2017年に亡くなっておられ、本書は遺稿をまとめたもの。
経営に、病気に苦しんだ久住さんの魂の叫びが詰まっている。

これを読むと、個人で書店を経営することの大変さがしみじみわかる。
札幌に所在し、
企画が話題を呼び、
マスコミにも何度も取り上げられ、
店主自体がかなりの有名人となっても、
経営は厳しかったのだから。
もっと小さな街で、細々と開いていたら、さらに困難な経営となることが目に見えている。

それでも、街には本屋があってほしい。
自然と人が集まる場所であってほしい。
巣立って行った子が、何年かぶりに故郷に帰ってきて、まずは訪れるような場所であってほしい。
本屋を続けること自体が奇跡なのかもしれないが、本屋がない街は悲しい。

久住さんは病に倒れ、奇跡への道のりを歩み続けることができなかった。
それなら、残された我々が、つないでいくしかない。
できることはきっとある。

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想像より早かったRIZAPの成長の壁   ~ 早期の膿出しで立ち直れるのか、これまでなのか ~ [経済を眺める楽しみ]

「結果にコミットする」
でおなじみのRIZAPが、業績を大きく下方修正した。
2019年3月期は赤字に転落する見込みであるという。

RIZAPと言えば、ここ数年はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった。
著名人を使った印象的なダイエットCMで注目を集めて本業をグイグイ伸ばすとともに、
業態を問わない企業買収を続け、
みるみるうちに大きな会社になっていった。
2014年からの売上高の推移を見ると、その尋常ではない成長ぶりがよくわかる。
 2014年:239億円
 2015年:391億円
 2016年:539億円
 2017年:953億円
 2018年:1362億円
このわずかな期間に、売り上げを6倍近くに伸ばしているのだから、目を瞠る。

マスコミも、RIZAPの経営手法に注目していた。
ジーンズメイトをはじめ、それまで不振だった企業が、RIZAP傘下に入った途端に再生していく様子を報じていた。

一方、不振企業を次々に買収する理由として、
立て直して相乗効果を生み出す、
という表向きの理由のほかに、
業績の悪い企業を帳簿価格より安い値段で買収することにより、「負ののれん代」を一括して利益に計上することができるため、これを狙っているのだ、
との意見もあった。
実際、2018年決算における利益額の半分以上は、この「割安購入益」で上げたものとされている。

こうした手法による利益のかさ上げは、違法なものではないし、しっかり立て直していけるのなら問題ない。
しかしそうならないとすると、
利益の額は会計上のバーチャルなものに過ぎなくなり、
経営上の重荷をどんどん抱えている、
という負の遺産を抱えて込んでしまうことになりかねない。

瀬戸社長の懐刀として迎え入れたはずの、
前カルビー会長兼CEOの松本晃氏が、経営陣との関係がギクシャクしてCOO職を外れるなど、
内部もガタガタしているようだ。

今回の業績の下方修正で、いったん膿出しが終わるのだとすれば、この停滞も悪いものではない。
むしろ成長神話が止まったここからが本当の勝負ともいえる。
RIZAPの正念場は、思ったより早く来た感はあるが、危機がない企業もない。
きっと多くの人に言われていることだろうが、まずは、自社の経営にコミットするとことから始めるしかない。
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大谷がアメリカに与えた衝撃が伝わる新人王選出 [ヨモヤ]

新人王争いで、大谷のライバルと目されたヤンキースのアンドゥハーの成績は、
打率・297、27本塁打、92打点。
内野手でこの成績はまさに堂々たるものである。
ちなみにナショナル・リーグで新人王に選ばれたブレーブスのロナルド・アクーニャの成績は、
打率・293、26本塁打、64打点
だから、これと比較してもアンドゥハーが残した数字の優秀さがわかる。

このアンドゥハーを向こうに回して、大谷は圧倒的な票数を集めて新人王に選ばれた。
投票した30人中、大谷を1位に選んだのが25人だったというから文句なしの選出と言っていいだろう。
大谷の成績は、
投手として
4勝2敗、防御率3・31。
打者として
打率・285、22本塁打、61打点。
打撃成績はいずれもアンドゥハーを大きく下回るが、二刀流が評価されたということだろう。

今回の発表に先立ってニューヨーク・ポスト紙は、新人王争いについてこんなことを書いていた。
「アンドゥハー、トーレスはアメージングな大谷には足りない」。
そうなのだ。
ライバルと目されたヤンキースの2選手は、グッド若しくはベリー・グッドな選手である。
しかし大谷は、アメージング。
いい悪いを超えた、「驚くべき」アスリートと見られているのである。
そしておそらく、「見ていて楽しいプレーヤー」とも思われているのだろう。

日本のプロ野球に入団当初、二刀流には懐疑的な声が大きかった。
アメリカに渡ったときにも、「成功するわけがない」と、したり顔で言う人もおられた。
大谷は、そうした声について言葉で反論するのではなく、結果で覆してきた。

懐疑から納得へ、納得から衝撃へ、衝撃から歓喜へ。
見ているだけでワクワクするプレーヤー大谷に、アメリカの人たちもぞっこんのようだ。
それが嬉しい。

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映画評 「ボヘミアン・ラプソディ」 [映画評]

個人的に、こそこそとバンド活動をやっている。
わんさと人が見に来てくれるわけではないが、それでもライブも前は不安になる。
そこで、ロックの神様にお願いする。
ロックの名曲を聴きながら。
それは例えば、
エリック・クラプトンの「レイラ」だったり、
レッド・ツェッペリンの「胸いっぱいの愛を」だったりする。
クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」も、私がロックの神様を呼び出すときの定番。
奇跡的な名曲だと思う。
同名映画が作られると聞いて、前から楽しみにしていた。

映画は、クイーンのボーカル、フレディ・マーキュリーの伝記とでもいったような内容。
伝記と言っても子供の頃からを描くわけではなく、成人してからの姿ではあるが、要所で出自にかかわることも示される。
知らないことも少なくなかった。
彼らがスターダムに駆け上がる様は痛快だし、
曲作りの様子も実に楽しい。
表面的なきれいごとではなく、
フレディの小さな愛にこだわる真摯な気持ちも、
性的な放埓さも、
人気絶頂を迎えながら孤独に苛まれていくさまも、
しっかり表現されている。

映像も美しい。
気を行き届かせ、
手を抜かずに作られていることがよくわかる。
この執念を、日本映画も参考にしてほしいと思う。

誰もが感じるだろうが、圧巻は最後のライブシーン。
まさに生でクイーンの演奏を見ているかのような錯覚にとらえられる見事さ。
自然に顔がほころび、なぜだか泣けてくる。
この映画は、日本を含め、世界的な大ヒットとなっているようだが、それにふさわしいラストの20分間である。

細部にまでこだわったいい映画だと思うが、フレディの内面をもう少し描き切れていれば、真の傑作になっただろう。
いい映画と名作には、目に見えない壁がある。
本作は、それを超えるまであと一息だった。

「ボヘミアン・ラプソディ」は、クイーンファンはもちろんだが、それを超えてロックファンなら絶対に楽しめる作品。
音楽に包まれた素敵な時間が過ごせる。
ロックの奇跡に包み込まれる。

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日本企業過去最高益の先 [経済を眺める楽しみ]

東証に上場する企業の2018年9月中間決算発表がピークを迎えている。
テレビでも新聞でもあまり景気のいい話は聞かないが、
日本の上場企業は過去最高益を更新しそうである。
過去最高、というくらいだから、バブル期をも上回る利益を上げているということになる。
どうしてもケチをつけたい人たちもいるから、こうした話も、
「一部の大企業に限った話」
「従業員への還元は後回し」
などと評されたりするのだろうが、本来目出度い話であり、とりあえず喜べばいいと思う。

利益拡大の要因としては、
・世界的な景気拡大
・円安
といった外的要素が挙げられがちだが、
ソニーのように稼ぐ力を挽回したケースもあり、個々の企業の頑張りももちろん見逃せない。

ただし、今後のこととなると、慎重な見方をする企業が多いようだ。
中間決算時に、
通期の最終利益予想を下方修正した企業は176社であり、
上方修正の企業数163社を上回った。
下方修正はあまりやりたがらない企業が多いから、この数字はそれなりに重く受け止めるべきなのかもしれない。
先行きが不透明になっている要因の一つは、もちろん米中貿易戦争なのだが、これは不確定要素の最たるものであり、どうなるのか全く予断を許さない。

それでも、近年は企業の体力がついてきているから、円高方向に大きくぶれない限り、利益の拡大基調は変わらないと見たい。
米中のいさかいは気になるが、とことんまで喧嘩するとは思えないから、どこかで落としどころを見つけるだろう。
内需については、賃金が徐々に上がってきていること、失業率は長期的に低下傾向にあることから、しっかりとした基調に転換してくるのではないだろうか。

問題は消費税増税で、これがなされると、景気に大きなブレが生じる。
来年10月までは駆け込み需要で経済指標は上振れするだろうが、
10月以降は反動減が見られると予想されるからである。
今回は、今までの反省をもとに大規模な需要喚起策を打つようだが、過去を振り返ると、あまりうまくいくような気はしない。
しかし、政策は政策として受け止めつつ、企業はしたたかに対応されるのではないか。

過去最高益は目出度いことだが、本来企業は年々成長することを期待されている。
成長して当然、とも言える。
個々の企業の出来不出来はあっても、日本企業全体とすると、これから先も最高益を更新し続けるような、そんなある意味当たり前の経済にしていきたいものである。

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オグリキャップは私のヒーロー ~笠松競馬場で思う~ [ヨモヤ]

これまで、日本にいろいろなヒーローが生まれてきた。
「戦後」という区切りで見れば、
プロレスの力道山であり、
相撲の大鵬であり、
野球の長嶋茂雄、王貞治、イチローであり、
サッカーの三浦知良であろう。
芸能では、
歌手の美空ひばり、
俳優の石原裕次郎、
などがヒーローと言われる存在だろうか。

私が、ヒーローという言葉で思い出す存在の一人(?)が、オグリキャップという競走馬である。
ヒーローには、
強いだけ、成績が優秀なだけ、数字を記録しているだけ、
ではなれない。
強く訴えるストーリーがあり、強烈な個性があり、
さらに時代とぴったり寄り添うという巡りあわせも必要である。
オグリキャップは、すべての要素を兼ね備えていた。
地方から這い上がってきた雑草であり、
見た目にも振舞いにも個性があり、
タマモクロス、スーパークリークなどのライバルにも恵まれ、
競馬ブームの隆盛にもピッタリはまった。
デビューしたての武豊と絡むという邂逅もあった。

今でも、オグリキャップの走ったレースをいくつも思い出すことができる。
勝ったレース負けたレース、それぞれが思い出深い。

oguri.jpg
岐阜に大切な用事があり、その機会を利用して笠松競馬場に行ってみた。
オグリキャップを紹介する映像で何度も見た競馬場だが、来るのは初めてだった。
予想通り、失礼ながらきっちりさびれていたが、なんだか実にいい感じだった。
ここでオグリが走っていたんだなあと思うと、東京や中山では抱くことのない感情に包まれた。
(画像は、笠松競馬場内にあるオグリキャップの銅像)

オグリの最後の有馬記念は、1990年。
ちょうどバブルがはじける時期でもあった。
あれから30年近く経ち、オグリキャップのことを知らない人もたくさんいるだろう。
当然である。
しかし、オグリにもらった勇気や感動や興奮を、一生忘れないという人も、たくさんいると思う。
私にとっても永遠のヒーローである。
オグリに会えて、本当によかった。

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