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映画評 「海獣の子供」 [映画評]

映画はわかりやすくあってほしい。
こねくり回した映画は苦手である。
その一方で、映画にはとんがってほしいとも思う。
作り手が作りたいままに、言いたいことを言い尽くしてほしいとも思う。
花火が上がって、文化祭があって、時空にずれがあって、クリスマスに雪が降る映画ばかりなのは、
わかりやすくても悲しい。

「海獣の子供」はアニメ映画である。
アニメである以上、狙っている年齢層は低くなるのが普通だと思うが、
この映画、難解であると評判である。
そしてそれゆえに、賛否が分かれている。
わかりやすい映画が好きな私だが、ひとつ挑戦してみようと思った。

滑り出しは、青春映画っぽく進む。
突然、「シェイプ・オブ・ウォーター」のような展開になって驚くが、
前半はテンポよく進み、少しも難解ではない。
しかし、途中から評判どおりのわけのわからなさに。
意図して抽象的にしている部分と、
あまり意味のない設定や登場人物のせいでわかりにくくなっている部分が重なり、
観ている側は混乱する。

映像は美しい。
最初から最後まで。
久石譲さんの音楽も、映像に合っている。
だから、意味がわからなくても、嫌になることはない。

主役の女の子の声を芦田愛菜さんが演じている。
芦田さんの顔がちっとも浮かんでこなかったのは、声優として成功であろう。

「海獣の子」は、私には中途半端に映った。
難解でもなんでも、伝えたいことを伝えたい方法で伝えたのなら、
それはそれでいい。
しかし本作の場合、ちょこちょこと余分な設定があり、
そこが興を醒めさせる。
振るんなら振らないと。

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言葉を狩ることは言論自身が自殺するようなもの  ~ 岩井志麻子さんの発言を巡って ~ [ヨモヤ]

ある新聞のウェブサイトに、
“ 関西テレビのバラエティー番組「胸いっぱいサミット!」で、作家の岩井志麻子氏が韓国人の気質について「手首切るブスみたいなもの」とリストカットする女性にたとえる発言をしていたことがわかった。インターネット上などで差別発言として批判の声が上がっている。”
との記事が掲載されていた。

一部の新聞社によくあるタイプの記事で、
「自社からは差別的とは言わないがネットではそういう声もある」
というもの。
類似した例に、
「今後、問題視される可能性がある」
というパターンもある。
記事に取り上げている時点で、その新聞社としては「問題にしてほしい気持ち満々」なのだが、
あくまでも自分ではない誰かが問題化しようとしているという立場に立とうとされる。

岩井さんの発言の内容は、概ね以下のような内容である。
番組中、慰安婦問題に絡んで2月に上皇さま(当時は天皇陛下)に謝罪を求めた韓国国会の文喜相議長をめぐる議論をめぐって、司会から
「岩井さんは、ご主人が韓国の方ということで、韓国人気質というものは分かっている?」
と問われ、岩井さんは
「この間も言いましたけど、とにかく『手首切るブス』みたいなもんなんですよ。手首を切るブスという風に考えておけば、だいたい片付くんですよ」
「(韓国が)『来てくれなきゃ死んじゃうから、死んだらあんたのせいだから』って言って、中国とか北朝鮮は『死ねば』と言っちゃうけど、日本は『そんなこと言うなよ、お前のこと好きなんや』(と言っちゃう)」
とおっしゃったというのである。

残念ながら私は岩井さんのことをよく知らないが、
司会の言葉にあるとおり韓国の方と結婚されていて、さらに
「日本人よりも韓国人の男性と付き合った数の方が多い」
のだそうだ。

さて、今回の、
「韓国は『手首切るブス』みたいなもの」
という発言は、どのあたりが差別的なのだろう。
岩井さんに韓国に対する差別感情がないのは明らかだから、韓国に対してではないだろう。
となると、ブスに対してだろうか。
「韓国に例えるとは、ブスを差別している」
ということなのだろうか。
まさか、そうではないだろう。
手首を切る女性に対して配慮が足りない、ということかもしれないが、その場合は差別とは言わないだろう。
では、「ブス」という表現自体が女性差別というのだろうか。
しかし、岩井さん自身女性であるし、ブスという表現はかなり一般化されている。
ブスが駄目なら、「デブ」も「ハゲ」も駄目だろう。

新聞報道を受けてなのか、関西テレビは早々に謝罪してしまった。
「差別的な意図はない」
と判断したものの、
「多様な感じ方をされる視聴者の皆さまへの配慮が足りず、心情を傷つけてしまう可能性がある表現であり、そのまま放送するというのは誤りだった」
「視聴者の皆さまへ申し訳なく思い、反省し、今後は多様な皆さまへの人権の配慮といった放送の価値を重んじられる番組作りをしていきたい」
とされたのである。

どうやら、誰か一人でも傷ついたと言い出せば、
それで
「すみませんでした、もうしません」
ということであるらしい。
その程度の覚悟で番組を作られているのだとすれば、こちらが何を言うものでもないが、
情けない話ではある。
また、出演された岩井さんも大変お気の毒である。

言論自身が言葉を狩るということは、非常に重いことだと思う。
よほどのことでない限り、するべきではないと思う。
しかしまあ、それもこちらがしゃかりきに言うことではないのだろう。
言論サイドで勝手に狩り合っておられるのだから。

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何故? 年金2千万円不足問題でマスコミが懸命にミスリードしようとされている [ヨモヤ]

今時、新聞やテレビを信じている人は少数派かもしれない。
しかし、「どうせ嘘ばかり」「上っ面の内容ばかり」などと断罪してしまうのは残念である。
マスコミの方々も、真実を伝え、我が国を正しい方向に導こうとされているのだと思いたい。
だが、このところの年金2千万円不足問題についての悪意に満ちた伝え方を見ていると、
マスコミに期待するのは無理なのかと思えてくる。

日曜日も、
「還暦の貯蓄額25%が百万円未満 2千万円に遠く届かず」
という記事が各紙に掲載されていたが、これも酷かった。
プルデンシャルジブラルタファイナンシャル生命保険が行った今年60歳となる男女2千人を対象にしたアンケートの結果についての記事なのだが、
この見出しで、書き出しが、
「還暦の貯蓄額、2千万円にはとても届かず。4人に1人が100万円未満―」
と来れば、
ほとんどの人が2千万円の貯蓄には届かず、
それどころか4人に1人はほとんど貯蓄無し、
だと思うだろう。
年金のほかに2千万円など、夢のまた夢、と。

しかし、実際には貯蓄額の平均は2,956万円であった。
「遠く届かず」どころか、平均で超えている。
貯蓄無しの人が増えている状況は由々しきものだし、
平均値は高額貯蓄者が引っ張り上げている面があるのも事実だが、
ほとんどの人が届いていないような記述はあまりにも酷い。
少なくとも、平均の貯蓄額は記事の中に書くのが普通だろう。
平均額さえ示さず!、最も貯蓄の少ない階層のみを取り上げて「遠く届かず」とするのは、
意図的なミスリードだと言われても仕方がないだろう。

この記事に限らず、今回の年金2千万円不足問題については、
酷い記事が多い。
また、テレビのキャスターなどでも、不勉強が過ぎる方も散見される。
若しくは、不勉強のフリをして、この問題の拡大を図られているのだろうか?
だとしたら、相当悪質である。

マスコミの中におられる
悪意のある方、
無自覚に不勉強な方、
に対して、私ができることはほとんどない。
ただ、覚えておこうと思う。
この方たちが言ったこと、書いたことを覚えておこう。
そして、これから先、この人たちが言うことには十分注意しようと思う。
そのくらいしかできないのが歯がゆいが、これだけは忘れないようにしようと思う。

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もっとなでしこに声援を ~ 久保くんもいいけれど、今はなでしこ ~ [ヨモヤ]

久保建英くんのRマドリードへの移籍が大々的に取り上げられている。
スポーツ新聞の1面ぶち抜きで。

まあ、それはそれでいいのだが、今は女子サッカーのワールドカップの大会中。
もっとなでしこの活躍を取り上げて欲しい。

5月10日付のブログでも、女子サッカーが盛り上がっていないことを書いた。
それでも、大会が始まれば、風向きも変わるのかと思っていたが、
どうやらそうでもないらしい。

前のブログにも書いたが、
日本女子サッカーは、今回でワールドカップに8回連続出場。
しかも、
2011年大会で優勝、
2015年大会で準優勝、
という強豪国である。
どうしてもっと盛り上げないのだろう。

今回のワールドカップでは、日本は苦しい戦いが予想されている。
予選リーグから予断を許さない。
だからこそ、声援を送りたい。
世界ランクは、過去2回が4位だったのに比べると、今回は7位と下がってはいるが、
それでも世界の強豪の一角である。
堂々の戦いを期待したい。

ここまで2戦を戦って、1勝1分け。
初戦の引き分けが痛かったが、ワールドカップで楽な試合があるはずもなく、計算外も起こり得る。
試合ぶりは、過去2大会と比べると洗練されていないと感じるが、
勝ち上がっていくにつれてチーム力も上がっていく展開に期待したい。

2011年大会のなでしこのワールドカップ制覇は、
平成時代を代表する国民的慶事だった。
東日本大震災で打ちひしがれていた我が国に、
勇気と希望を与えてくれた。
それを忘れてはならない。

予選リーグは次戦が最終戦。
勝てば1位通過、
引き分ければ2位通過、
負けると他の試合の結果次第となる。
相手は世界ランク3位のイングランド。
まさに大一番である。
出来ることは応援だけ。
ならば、頑張って応援しよう。

※その後、他グループの結果によりイングランド戦を前に日本の予選通過が決まった。
 まずはよかった。
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どんな会社に入っても多少は後悔する ~ やり直すのもアリだが、一度踏ん張ってみるのも大切 ~ [ヨモヤ]

せっかく入った会社なのに、すぐやめてしまう若者が多いという。
入った後、
「向いていない」と痛感してしまった場合や、
「どうしても先が見えない」と思い知ってしまった場合、
「やばい、ブラックだ」とわかってしまった場合、
などなど、やめる理由は様々だろう。
今の時代、勤め上げなければならないというものでもない。
しがみつけばいいというものでもない。

人材広告企業の大手マイナビが、
ネットで実施した「2019年新入社員1か月後の意識調査」の結果を発表した。

新卒で入社した会社で何年ぐらい働くと思うかを聞いたところ、
「3年以内」が最も多く22.2%、
「定年まで」が次いで21.8%、
「4~5年」が14.9%
だったという。

「3年以内」に辞めるだろうと考えている人が5分の1以上いると聞くと、
なんだかえらく堪え性がないように思えるが、その理由を見ると少し趣が変わる。
つまり、上位から、
「ライフステージに合わせて働き方を変えたいから」
「転職でキャリアアップしていきたいから」
「色々な会社で経験を積んでいきたいから」
といった、かなり前向きな理由が並ぶからである。
4位以降となると、「給料がいまいちだから」「仕事がハード/厳しそうだから」「仕事にやりがいがない/やりがいがなさそうだから」
と残念なラインナップとなる。

前向きな理由で会社を辞めるのなら、次につながっていく感はある。
駄目なところで、若い時代を無駄にするのももったいない。
しかし、見切ってしまう前に、少し頑張ってみることも必要だろう。
時が経てば、
うだつが上がらないように思えていた先輩がとんでもない技能を持っていたり、
くだらないと思っていた仕事が社会に大きく貢献していたり、
と最初は見えなかったものが見えて来ることもある。

私自身転職組であり、職を変えることを否定はしないが、
我慢が必要なケースがあることも言うまでもない。
どの会社で働くかということは、どの学校に入るかということ以上に一生を左右する。
結論に飛びつかず、じっくり考えよう。

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なんとも複雑な日韓の世論  ~ 日韓共同世論調査に思う ~ [ヨモヤ]

日本の民間非営利団体「言論NPO」と韓国の「東アジア研究院」が、
第7回日韓共同世論調査の結果を発表した。
それによると、「相手国に良い印象を持つ」と答えた人の割合が、
日本人は2013年の調査開始以来、最低の20・0%だったのに対し、
韓国人は最高の31・7%だったという。
なんとも不思議な結果である。
一方が最低で、一方が最高とは。

昨今の日本人が韓国に対して悪い印象を持つのは、
残念ながら当然のことだと思う。
レーダー照射問題、徴用工問題、要人による発言など、
まるで仮想敵国のような扱いをされているのだから、良い印象を持てと言う方が無理である。
過去最低というが、まだ20%の人が良い印象を持っていることに驚く。
この方々は、ニュースなどはご覧にならないのだろうか。
若しくは、いろいろな出来事は知っていて、良い印象を持っているのだろうか。
だとしたら、何故なのだろう。

韓国の方が日本に良い印象を持ってくださっているのは、ありがたい。
これで民間まで冷え込んだら、心底対立である。
それにしても、これほど分かり合えなくなっている状況において、
過去最高の割合で日本に良い印象を持たれているのは何故なのだろう。

この世論調査は、多種多様な内容について聞いていて、
非常に興味深い内容になっている。
報道されているところだけではなく、全項目についてご覧になることをお勧めしたい。
http://www.genron-npo.net/world/archives/7250.html

日本と韓国は隣国である。
歴史的なつながりも非常に深い。
仲良くできるものなら、そうしたい。
しかし、昨今の状況を見ると、
互いが分かり合えるようになるとは思えないし、
そこまで関係改善を図る意味も無いように感じられる。
悲しいことだが。

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映画評 「町田くんの世界」 [映画評]

2019年の上半期、最も楽しみにしていた映画が、この「町田くんの世界」であった。
前作「夜空はいつでも最高密度の青色だ」でしびれさせてくれた石井裕也さんのメガホンで、
新人をメインに据え、
高畑充希さん、前田敦子さん、池松壮亮さんといった面々が脇を固める。
予告編もワクワク感を高めてくれて、
外れようがない作品だと思っていた。
しかし、アレレ。
鑑賞前にネットの評を見ると、「ガッカリ」がワンサ。
ただ、ネットの評は全く当てにならないので、石井監督の手腕を信じようと思った。

結果・・・・
ネットの評は、あまり外していなかった。
期待値を高め過ぎた反動もあるとは思うが、それにしても。
一言で言えば、「ガッカリ」となる。

映画は、最高にいい人である町田くんが奮闘する内容で、
完全なコメディ。
もちろん、コメディで構わないのだが、コメディに入り込むためには、説得力がないと。
新人のお二人の演技にはそこまでの力はなく、
演出も冴えなかった。
この素材で、こんな風に仕上げてしまうとは・・・。
残念。
つまらなくて仕方がない、という映画ではなかったが、期待が大きかっただけに。

主演を務められた細田佳央太さんと関水渚さんについては、正直なところ特に印象は無し。
このお二人でないパターンも観てみたいと思ってしまった。
高畑充希さんは、なんとももったいない役回り。
高畑さんのよさが活かせたとは思えなかった。
池松壮亮さんの持ち味も十分には活かせていなかった。
良かったのは、学生役を演じられた前田敦子さん。
前田さんのシーンは、どれも面白かった。

「町田くんの世界」は、期待していただけに、なんとも。
どうやら興行的にも苦戦しているようだが、それは主役の二人のネームバリューの問題ではなく、
口コミ効果が広がっていないからではないだろうか。
退屈極まりない、という映画ではないものの、
おススメしたい気持ちになるところにまでは至らなかった。

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景気がよくても飲食店には厳しい時代 ~2018年度の飲食店の倒産、休廃業・解散件数は、2000年度以降で最高らしい~ [経済を眺める楽しみ]

2019年に入り、経済の先行き懸念が強くなってきているが、
2018年までは、景気全体としてはそれなりによかった。
多くの企業が、過去最高益を記録し、
失業率も低い水準に張り付いた。
倒産件数も、過去30年では1990年、1989年に次いで3番目に少ない水準だった。
バブル期以来の少なさ、ということになる。

しかし、こうした状況でも、飲食店の経営は厳しいようだ。
帝国データバンクの調査によると、
2018年度の飲食店の倒産、休廃業・解散件数は、2000年度以降で最高となったとのことである。
2000年度以降で最多、ということは、
リーマン・ショック時の2008年や
東日本大震災時の2011年を上回っているということになる。
そう考えると、状況の厳しさがよくわかる。

今後の見通しとすれば、
東京オリンピック・パラリンピックの開催や、
インバウンドの増加は追い風だが、
消費増税や人手不足は逆風となる。
受動喫煙の防止も、飲食店としては歓迎できるものではなさそうだ。

特徴のある飲食店の存在は、地域の活力につながる。
特徴のある飲食店の存在は、その地域を訪れる理由になる。
頑張ってください、
と言いたいところだが、それぞれのお店はとっくに頑張っておられるだろう。
ご商運をお祈りしたい。

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映画評 「長いお別れ」 [映画評]

ほとんどの映画ファンがそうだと思うが、私は蒼井優さんが好きだ。
「花とアリス」や「フラガール」のように、主演でももちろん輝かれるが、
「東京喰種トーキョーグール」や「ミックス」のように、脇で出ても、その存在感は格別である。
「オーバーフェンス」や「彼女がその名を知らない鳥たち」での女優魂の炸裂もすさまじい。
山里さんとの結婚会見も好ましいものだった。
是非、結婚後も、女優であり続けていただきたい。

映画「長いお別れ」は、そんな蒼井優さんの最新主演作。
いつものとおり、素敵な演技を見せてくれた。

監督は、「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太さん。
蒼井さんとのコンビに期待しないわけにはいかなかったのだが、
ううむ。
悪い映画ではないと思うが、期待値からすれば、正直残念。
もっともっと遠いところに連れて行ってくれるものと思っていた。

映画の内容は、
「認知症の影響で徐々に記憶を失っていく父と、彼と向き合う家族を描く」というもの。
認知症の父を山崎努さん、その妻を松原智恵子さん、
娘役を竹内結子さんと蒼井優さんが演じる。

山崎さんの演技はさすがだし、
蒼井さんもいつもどおりのクオリティ。
竹内さんもキュートであった。
しかし、何か足らない。
若しくは、何かが過剰だった。

「湯を沸かすほどの熱い愛」ではキリッとしていた中野監督の演出が、本作では今一つはまらない。
エピソードもバラバラで、高揚していかない。
ラストに用意されていたシーンも「?」だった。

「長いお別れ」は、なんだかもどかしい作品。
いい映画であるのかもしれないが、道徳の教材的に「いい」という感じで、
映画的にグサグサ刺さる作品ではない。
山崎努さんと蒼井優さんの演技を見るだけでも一定の価値はあると思うが、
あまり期待値を高め過ぎると肩すかしを食らう。
結婚御祝儀のようなつもりでどうぞ。

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映画評 「小さな恋のうた」 [映画評]

本作は、「MONGOL800」の名曲、「小さな恋のうた」から着想されたもの。
モンパチの伝記映画ではないし、実際にあった話でもない。

ジャンルとしては、青春音楽映画。
ロックに青春を燃やす。
バンドもののいいところは、最後のライブシーンにすべてを集約できること。
この演奏がよければ、途中が多少グダグダでもまあ何とかなる。
特に青春ものの場合、ライブでのカタルシスは約束されたようなもの。
この映画の場合、「小さな恋のうた」が演奏されるシーンがクライマックスになることは容易に想像されるだろうし、あの曲なら外しようがない。

この映画も、演奏シーンはそれなりに気持ちがいいのだが、
その他の時間はオヤオヤという感じ。
設定も演出も中途半端で、気持ちが入り切らない。
登場人物たちの行動に共感しきれない。
モンパチということで沖縄が舞台になっており、沖縄特有の問題も描かれるのだが、
それが十分な効果を上げているとも思えない。

主演は、去年から映画出演ラッシュの佐野勇斗くん。
私にとっては、「ちはやふる 結び」の筑波くん役が印象深い。
なかなかいい声をしている。
私の愛する「ちはやふる」からは、机くん役の森永悠希くんも出演。
ヒロイン的存在に、山田杏奈さん。
最初画面に出てきたときはちょっと地味に感じたのだが、映画が進むに従ってどんどん存在感を増してきた。
「咲-Saki-」での演技とは全く違う印象で、これからが期待できる女優さんなのかもしれない。

とある劇場にこの映画を観に行ったら、
「映写機トラブルのため、本日の上映は中止となりました」
と言われた。
そんなこと、初めてだった。
それで「縁がなかった」と割り切ればよかったのだが、意地になって別の映画館に観に行った。
結果、ふうむ。
縁がないままにしておけばよかったのかもしれない。

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