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M-1グランプリ2018 観戦記 ~世界で一番素敵な夜 ~ [ヨモヤ]

M-1が好きだ。
「このために一年間生きている」
とまでは言わないが、思い切り楽しみにしている。
私は、普段バラエティ番組はほとんど見ない。
お笑いが好きなのはもちろんだが、なかでもM-1が特別好きなのだと思う。
M-1の放送日が、自分にとってのお正月だと思うくらいに。

M-1も、年によって最高に楽しいこともあれば、
やや残念な年もある。
共通しているのは、
観終わってどっと疲れることである。
見ているこちらも真剣勝負を強いられる。
そしていつも湧いてくるのは、芸人さんたちへの敬意と感謝である。
みなさんと同じ時代に生きていることを誇りに思う。

さて、今年のM-1だが、
全10組が笑いを呼ぶという最高の回にはならなかった。
特に、スーパーマラドーナとゆにばーすが滑ったのは、意外であり残念だった。
しかし、全体を通せば、やはりいい夜だった。
日本が世界で一番いい夜だったと信じられる。
では一組ずつ、簡潔に振り返ってみよう。

見取り図
トップバッターは完全に不利である。
それが当日のくじで決まろうと何であろうと。
私は、十分に楽しめたが、点数が伸びないのは仕方がない。
なんだか知らない名前を入れておいて、あとで突っ込むという手法は、私としては面白かったが、その場での笑いにはつながりにくい面があった。

スーパーマラドーナ
11月28日付で書いたブログで、私が優勝候補に挙げたのが彼ら。
田中くんのキャラに頼っているように見えて、ネタもしっかり作り込まれていて、ラストイヤーバネも含め、爆発するのではないかと思った。
しかし、今日のネタは後半尻すぼみになってしまうという最悪の展開。
彼らとしては、ほぼ最悪の出来であったように思う。
これだから一発勝負は怖いが、その後の出番で田中くんが散々笑いをとっていたから、よしとしようか。
M-1に世界一思い入れがある男である相方の武智くんは残念だろうけれど。

かまいたち
キングオブコント優勝者だが、話題をにゃんこスターに持っていかれた彼ら。
しかし、実力は折り紙付きである。
この日のネタでもしっかり笑わせてもらった。
しかし、突き抜けるところまではいかない。
十分に面白かったが。

ジャルジャル
我が家は、一同ジャルジャルファンである。
彼らの開拓精神や挑戦心、アスリート魂が好きだ。
これまでもキングオブコントも含め、思い切り笑わせてもらってきた。
この日の「国名分けっこ」も、笑いがどんどん増幅していく傑作だった。
このネタなら、当然に3位までには入る。

ギャロップ
自虐ネタであり、同じ内容が延々と続いていくという漫才は、M-1には向かない。
どこかの演芸場の昼下がり、ちとゆるい空気の中で長いネタをじっくり見るという形ならばともかく、ここで笑わせるにはキツイ。

ゆにばーす
去年のゆにばーすは面白かった。
トップバッターというハンデさえなければ、最終決戦に残ってもいいと思えるくらいだったし、インパクトは一番だった。
しかし、南海キャンディーズもそうだったように、キャラが立っているコンビの2年目は鬼門である。
ゆにばーすも、その罠にずっぽりはまった。
どんどん空回っていく姿は、ちょっと痛々しくさえあった。

ミキ
「面白い」という人が多いミキだが、私は去年のM-1まで全く面白いと思ったことがなかった。
騒々しいなあ、としか思えなかった。
しかし、去年のM-1で、やっと評価される理由がわかった。
今年も期待したが、再び騒々しさばかりが際立った感がある。
ネタのひねりもなく、もう一本見たい気にはなれなかった。

トム・ブラウン
今年のM-1最大の衝撃は彼ら。
全く見たことのないタイプのネタで、追随してくるものもいないだろう。
もう少しツッコミにバリエーションがあれば、3位までに入れたかもしれない。
しかし、傷跡はしっかり残した。

霜降り明星
どこか微妙な空気で進んでいた今年のM-1が、霜降り明星の登場で一気にはじけた。
ネタが進むにつれて笑いが膨れ上がっていき、会場がぐわんぐわんしている様子が画面越しに伝わってきた。
スピードがあり、
ボケの手数があり、
笑いを膨張させるツッコミがあり、
という、M-1に勝つ漫才の典型だった。

和牛
さっき、「我が家はジャルジャルファン」と書いたが、それを上回るほどの和牛ファンでもある。
絶対の優勝候補と言われ、
最後の登場となり、
自分たちの前の組が大うけを取るという厳しい状況。
見ているこちらが緊張したが、和牛はさすがだった。
慌てず騒がず、しっかり自分たちのネタをやり、きちんと笑いを取り切った。
これまでの和牛とは、また違うネタで。
素晴らしい。

最終決戦に残ったのは、得点順に霜降り明星、和牛、ジャルジャルの3組。
この日の出来なら、この3組が残るのが順当だろう。
見たい3組が残ったのは、M-1ファンとして実に嬉しい。

ジャルジャルの2本目
ハイスピードなのはいつも通りだが、発想の斬新さやネタの革新性が見られなかった。
それなりに面白かったが、優勝するネタかと言えばどうだろう。

和牛の2本目
2016の和牛の2本目が最高だった。
去年の2本目はダメだった。
今年は、2本目も見事な出来で、しっかり2本揃えてきた。
観終わった瞬間、「スゴイ」とうなった。

霜降り明星の2本目
2本目もしっかりウケを取ったが、1本目と比べるとそれほどでもない。
見たことがあったネタでもあったし、あまり笑えなかった。

ファイナルの3本を見て、私は和牛の優勝を確信した。
最高のネタだった2016年で優勝できなかったことから、私は和牛はM-1には縁がないものと思ってきたが、そんなものは私の勝手な思い込みに過ぎず、今年こそ優勝するのだろうと思った。

結果、霜降り明星が4票、和牛が3票となり、和牛は3年連続の準優勝となった。
決勝に残るだけでも大変、ファイナルステージに残るもまた大変、
という状況のなか、3年連続準優勝となった和牛の力はすごい。
霜降りがどうのではなく、和牛に勝ってほしい気持ちが強かったので、結果発表の後、我が家には沈痛な空気が流れた。
やはり和牛はM-1には縁がないのだろうか。
来年も和牛を見られるとしたら嬉しいが、二人はなかなかその気持ちにはなれないかもしれない。
喜ぶ霜降りの姿を見つめる和牛のお二人を見ていると、こちらも切なくなった。

M-1には夢がある。
金とか名声とかではなく(もちろん、そうしたものが手に入れば越したことはないが)、
ただひたすらに笑わせたいという思い。
自分たちが一番面白いことを証明したいという思い。
芸人さんの奮闘ぶりに、今年も感動させられた。
本当にありがとうございました。

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