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2019年の日本映画を振り返る その1 「困った映画たち」 [映画評]

去年も多くの映画を観た。
改めて数えてみると106本だった。
100本を超えているとは、我ながらちと驚いた。
そのなかで邦画は92本。
もちろん、公開作品を残らず観ることなどできるはずもないが、まあまあの数である。

作り手の皆さんは、それぞれ懸命に作っておられるのだろうと信じたいが、
「なんだこりゃ?」
という作品も少なくない。
私の個人的な嗜好なので、人によって感じ方はそれぞれだろうが、
「それにしても・・・」という映画も散見される。
今回は、困った映画を振り返ってみよう。

正直なところ、つまらない映画、どうにもならない映画、というのはポロポロある。
ここで取り上げるのは、期待外れ、残念、という映画と理解していただきたい。
つまり、もっとひどい映画はいくつもあった。

まずは、「劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~」。
大ヒットしたドラマの映画化であり、大きな期待を持って封切られたが、
安易な企画、雑なストーリー、稚拙な演出と美しくない映像、安っぽい特撮シーン、
と駄作パターンの典型。
ドラマファンは、どんな気持ちでこれをご覧になったのだろう。

んな映画あったっけ、という人も多いだろうが、「サムライマラソン」も酷かった。
佐藤健さん、小松菜奈さん、森山未來さん、染谷将太さん、豊川悦司さん、長谷川博己さん、
というメンバーを揃えて、映画はハラホロヒレハレ。
誰かなんとか言わないのかしら。

意外なヒットとなった「新聞記者」も映画としては困りもの。
現政権を批判する内容が話題を呼んだが、映画そのものはスカスカのペラペラ。
政権批判をしていればそれだけでうれしいという方が支持するのだろうか。
映画って、そんなに安いものではないと思う。

期待を裏切られた、という点では、「町田くんの世界」と「屍人荘の殺人」。
両作とも、1から10までダメダメ、というわけではなかったのだが、こちらが期待を高め過ぎた。
「町田くん」は、「夜空はいつでも最高密度の青色だ」がしびれた石井裕也監督で、
勝手に2019年の本命と決め込んでいた。
印象の薄い作品で、ガッカリ。
「屍人荘」は、神木隆之介くん、中村倫也さん、浜辺美波さんというキャストに、
「任侠学園」が痛快だった木村ひさし監督で、
こりゃもう外しようがないと思っていただけに、はにゃー。

「男はつらいよ お帰り 寅さん」は、撮られるべきではなかった作品だと思う。
「引っ越し大名」は、今が旬の星野源さんを使いながら、実にもったいない。
「楽園」は、傑作傑作とあおった割に凡庸な作品で肩すかし。

アニメ作品では、
「えいがのおそ松さん」「ONE PIECE STAMPEDE」「バースデー・ワンダーランド」
といった作品にがっかりさせられた。

その他、
「この道」「影踏み」「僕に、会いたかった」「轢き逃げ 最高の最悪な日」
などが残念組。
本当は、まだまだあるのだが、この辺にしておこう。

一生懸命作っても、つまらない作品になってしまうことはあると思う。
それは仕方がない。
誰にだって失敗はある。
しかし、魂がこもっていない、映画への愛がない、観る人をなめている、
そんな作品には怒りが込み上げる。

じゃあ、そんな映画観なければいいじゃないか、と言われそうだが、
観てみないとわからないのが映画である。
ちまたの評判が悪くても、観てみたら面白かったり、
ヒットしているから観に行ったら、「なに、これ?」だったり。

2020年、失敗作に数多く出会うことも覚悟している。
しかし、せめてしっかり振り切ってほしい。
映画を作れる立場にいることへの感謝と喜びを忘れないでほしい。
映画ファンからの、作り手へのお願いです。

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