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ダルビッシュさん 大丈夫?  ~ 投球制限論が急に経済界に跳び 日本批判につながる不思議 ~ [ヨモヤ]

ここ数年、高校野球の投球制限論が盛り上がっている。
何故だろう?
高校野球が連投になるのは今に始まったことではないし、
むしろ以前よりは日程に余裕ができている。
高校球児たちが声を上げているわけでも、全然ない。
あえて言えば、暑いからなのだろうか。
それとも、何かと口をはさみたい、我慢ができない、
責任を取りたくない大人が増えたからだろうか。

私は、制限は必要ない、という立場である。
このブログにも繰り返し書いてきた。
そもそもプレーしている高校生たちが望んでいないし(各種アンケートではっきりしている)、
高校生たちにとっては甲子園が最高の舞台であり、ここで燃焼する方がいいだろうし、
勝つチームが決まってしまうことにも疑問を感じるからである。

投球制限論のプロ野球選手の中での急先鋒の一人がダルビッシュさん。
『REAL SPORTS』の独占インタビューでもそれを語っておられるので、興味深く読んだが、
あれ、なんだこれ?
変てこりんなことをおっしゃっている。
ネットの記事を引用して、検証してみたい。
ちょっと長いが、切り取ったように思われるのもなんなので。

・・・・ ここから引用 ・・・・
ダルビッシュ:そうですね。球数制限の議論の中で一番多いと思うのが、「高校野球の選手は3年間しかない」「プロを目指している選手ばかりではない」と。だから、「そういう選手たちの思い出のためにも球数制限を設けるべきではない。それに、厳しい状況に置いたほうがその選手の将来に生きてくる」。こう言う人がすごく多いんですよ。

 でも、日本経済界に優秀な人材がどれくらいいるかを見ると、他の国に比べて少なくないですか? 例えばアメリカ。いわゆる先を行っているこの国には優秀な人材がたくさんいます。アメリカには根性論のような考え方がないのに、なぜそんなに優秀な人材が生まれるのか。それってきっと、人生でたくさん訪れる苦しい場面を乗り越えていくための打開策を、自分自身で考えているからだと思うんですよね。
・・・・ 引用終わり ・・・・

一段落目と二段落目に滅茶苦茶な飛躍があるのだが、それはひとまずおいておいて、
一段落目について考えてみたい。
ダルビッシュさんは、
“球数制限の議論の中で一番多いと思うのが、「高校野球の選手は3年間しかない」「プロを目指している選手ばかりではない」と。”
とおっしゃっている。
これはそのとおりである。
私もそう思う。
しかし次の言葉、
“だから、「そういう選手たちの思い出のためにも球数制限を設けるべきではない。それに、厳しい状況に置いたほうがその選手の将来に生きてくる」。こう言う人がすごく多いんですよ。”
というのには首を傾げる。
厳しい状況に置いた方がその選手の将来に生きてくるから連投させるべき、
などということは、少なくとも私は聞いたことがない。
そもそも、連投することになるのは勝ち上がった場合のみであり、
将来に生かすために連投させるわけではない。

続けて、さらに「?」が渦巻く二段落目。
“でも、日本経済界に優秀な人材がどれくらいいるかを見ると、他の国に比べて少なくないですか? 例えばアメリカ。いわゆる先を行っているこの国には優秀な人材がたくさんいます。アメリカには根性論のような考え方がないのに、なぜそんなに優秀な人材が生まれるのか。それってきっと、人生でたくさん訪れる苦しい場面を乗り越えていくための打開策を、自分自身で考えているからだと思うんですよね。”

最初の「でも」は、
「連投させれば将来につながるという人がすごく多い。でも」
というつながりである。
そんなことを言う人は、すごく多いというより、少なくとも私は聞いたことがないが、
もしそういう人がいたとして、
連投させたのに経済界に優秀な人がいないのはおかしい、
というのは一体どういう思考回路なのだろう。
高校野球での連投は、経済界に人を送り出すためではないのだが・・・。

また、アメリカと日本を比較するのもフェアではない。
アメリカは市場規模が世界一の覇権国であり、言葉の問題も含め、圧倒的に有利な立場にある。
アメリカでの成功は、そのまま世界市場での成功につながる。
他の欧米諸国や人口の多いアジア・アフリカ諸国と比べて、
日本がそれほど劣っているとは思いにくい。

しかしまあ、連投=根性論と決めつけ、
根性論の割には経済界には人がいない、
と、しっちゃかめっちゃかに論を展開されるので、真面目に反論するのも野暮であろう。

ダルビッシュさんのインタビューの揚げ足取りをするつもりはないが、
あまりにも陳腐な内容に驚いた次第である。
ただ、投球制限論を強く唱えている方の論拠がこんな感じであることは、
制限反対論者である側からすれば朗報と言えなくもない。
議論に勝ったところで、投球制限の流れが止まるとは思えないが。

ダルビッシュさんのインタビューはこちらから
https://real-sports.jp/page/articles/345850526409163798
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