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今年は特にガッカリ 日本アカデミー賞のノミネート作品 [映画評]

それを言ってしまっては身も蓋もないが、日本アカデミー賞に大きな価値を認めている映画ファンは、
あまり多くないだろう。
何故かと言うと、
評価されるべき作品が評価されず、
評価されるべきではない作品が評価される、
ということが繰り返されているからである。
例年、最優秀作品賞こそまずまずの納得具合だが、
5本選ばれる優秀作品賞の中には首を傾げたくなく作品が少なくない。
今年もそうなってしまった。

優秀作品賞に選ばれたのは以下の5作品。
「キングダム」
「新聞記者」
「翔んで埼玉」
「閉鎖病棟―それぞれの朝―」
「蜜蜂と遠雷」

ほぼコンテストシーンだけで映像化しきった「蜜蜂と遠雷」と、
極上のエンタメに仕上げた「キングダム」は納得として、
他の3作品はどうだろう。
「翔んで埼玉」は楽しませてもらったが、「ある意味面白い」という作品。
興行的に評価されればそれで十分ではないだろうか。
「閉鎖病棟―それぞれの朝―」は、いい映画っぽいしつらえだが、抜けが多く入り込めない。
「学校の怪談」「学校の怪談2」「愛を乞うひと」といった平山監督の過去の作品と比べると、数枚落ちる感じがした。
そして、「新聞記者」。
社会派に区分されるのだろうが、内容はペラッペラ。
この作品が2019年の5本に選ばれることがいろいろな意味で心底悲しい。
藤井道人監督は、重いテーマを正面から描き切った「デイアンドナイト」という映画を撮られている。
こちらが評価されるのならわかるのだが。

例年のことだが、優秀作品賞と監督賞と脚本賞などで作品がダブる。
今年は以下のノミネート。
優秀監督賞
佐藤信介「キングダム」
周防正行「カツベン!」
武内英樹「翔んで埼玉」
平山秀幸「閉鎖病棟―それぞれの朝―」
藤井道人「新聞記者」

優秀脚本賞
片島章三「カツベン!」
詩森ろば、高石明彦、藤井道人「新聞記者」
徳永友一「翔んで埼玉」
平山秀幸「閉鎖病棟―それぞれの朝―」
三谷幸喜「記憶にございません!」

失礼ながら、なんだか力が抜ける。
本当に、ちゃんと映画をご覧になっている方が選んでいるのだろうか?
本当に、映画を愛している人たちが選んでいるのだろうか?

「日本アカデミー賞にムキになるなんてどうかしてる」と言われればそのとおりだろう。
しかし、映画好きとしては、ちゃんと作られた映画が正当に評価されて欲しい。
それが映画の未来につながると信じるから。
心からそう思う。

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