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自治体間の流動性を増す「共通資格」の導入は朗報 [ヨモヤ]

政府が、地方自治体の職員が別の自治体に転籍しやすくなる「共通資格」の導入を検討する、
との報道がなされた。
人材の流動性を確保し、自治体の職員数減少に歯止めをかけるのが狙い、とのことである。

現在の仕組みでは、別の自治体に就職するには改めて試験を受ける必要がある。
もちろん、それに受かればいいのだが、職種によっては難しいケースもあるし、
他自治体での再就職を目指す個々の職員にとって障害になっているのは事実だろう。

検討される「共通資格」は、
公務員として必要な一定の能力や実績・スキルを証明するもので、
これが広がれば、自治体間での異動がぐっと身近になる可能性がある。
自治体から自治体へ渡り歩く職員も生まれるだろうか。

ただ、報道されている内容には気になる点もある。
まず、この制度が検討されている背景が、人材確保への危機感というところである。
自治体の採用試験の競争率は1999年度の14.9倍から2019年度は5.6倍と低下傾向、
というのだが、自治体職員は十分に人気の職種であり、
そこのテコ入れを考える必要はあまりないのではないか。
職員の流動性を高めることによって、
より働きやすく、よりスキルを有効に活用し、より生産性を高める、
ということに絞った方がいいように思う。
職員の確保が困難な自治体のみ活用できる、
などといった前提がつかないことを願いたい。

また、制度改正を行うスケジュールもどうか。
報道では、総務省内の議論を、今年夏にも中間報告としてまとめ、
政府内で制度案がまとまれば2023年にも制度変更に着手する、
とのことである。
もっと早くならないだろうか。
2023年に新しい制度を開始する、ならともかく、
2023年に着手するでは、実現するのは随分先の話になってしまいかねない。
この制度があれば助かる職員や、
この制度があれば有効な手が打てる自治体にとって、
2年以上の待機は長過ぎる。

行政がかかわるほぼすべての制度がそうだが、
地方公務員制度も時代の変化に取り残されている面が少なくない。
検討される予定の「共通資格」は、突破口の一つになりえる可能性があるだけに、
早期の実現を期待したい。

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2021年の邦画を振り返る ~ その1 概観 ~ [映画評]

2020年に続いてコロナ禍の1年となった2021年の邦画を振り返ってみたい。
一年中緊急事態宣言が出っぱなしだったイメージがあるが、
2020年と違い、映画館が閉鎖される事態にはならなかったのは救いだった。

しかし、映画制作には困難が付きまとったことだろう。
2021年に公開された映画は2020年に撮影されたものが多かったと思うが、
感染予防に最大限の注意を払わなければならず、いろいろ制約があっただろうし、
実際に感染者が出て撮影が頓挫するケースもあっただろう。
公開時期についても毎度ややこしい判断が必要とされたのではないだろうか。

だから、ある程度やむを得ない感はあるのだが、
2021年の邦画はあまり元気がなかった気がする。
巨匠の作品も、
中堅の作品も、
若手の作品も、
ズドンと来るものが非常に少なかった。

ちなみに、2021年の邦画興収トップ10は以下のとおりである。

1位「シン・エヴァンゲリオン劇場版」102.8億円
2位「名探偵コナン 緋色の弾丸」76.5億円
3位「竜とそばかすの姫」65.3億円
4位「東京リベンジャーズ」44.7億円
5位「るろうに剣心 最終章 The Final」43.4億円
6位「新解釈・三國志」40.3億円
7位「ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”」40億円
8位「花束みたいな恋をした」38.1億円
9位「マスカレード・ナイト」37.7億円
10位「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション」33.7億円

アニメが強いのは例年どおり。
エヴァンゲリオンの完結編が唯一の100億円超え。
作家性の高い作品が最も観客を集めたというのは明るい話題だろう。
大ヒットにはならなかったが、「映画大好きポンポさん」「漁港の肉子ちゃん」といった佳作もあった。
なお、「呪術廻戦」は、公開時期が遅かった関係でここには入っていない。

実写作品として最大のヒットとなった「東京リベンジャーズ」は、近年勢いのあるヤンキー系の作品。
これだけヒットすると、夏といえばヤンキー映画、が定番化するかもしれない。

このなかで予想以上のヒットとなったのは、8位の「花束みたいな恋をした」だろう。
挿入歌を謳ったAwesome City Clubが紅白に出場するなど、社会現象的な興行となった。
こうした、口コミで観客数を伸ばす作品がトップ10にもう2本ほど入っていれば彩りが豊かになる。

2022年に公開される映画のうち少なくない割合が、
2020年や2021年に撮影されたものだろうから、
やはり撮影に様々な障害があったことと思う。
そんななかでも、しっかり魂の籠った作品が届けられることを祈りたい。
堅苦しい作品である必要はなく、娯楽作なら娯楽作として、しっかり突き詰めていただきたい。
ドラマの映画化作品にありがちだが、コアなファンにだけわかればいいといった、
内輪受けの、ちっぽけな作品が目立つのは残念である。

映画館にとっても厳しい時期が続く。
我々映画ファンは観に行くことで支えるので、
映画に携わる方々は、いい映画を作ることで映画館を支えてほしい。

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日本でももっと尊厳死の議論を [ヨモヤ]

コロンビアの病院で重い病気に苦しむ男性が安楽死した、とのニュースが届いた。
同国では安楽死は事実上合法であるらしいが、
昨年7月に「末期の病状」以外でも安楽死を認めて以降、
こうした事例としては初のケースになったのだという。
男性は、脳血管障害や肺疾患、糖尿病などを患い、人工呼吸器を付けていたが病状は末期ではなかったそうだ。
自分の意志で死を選んだだけに、家族に対しても、
「さよならは言わない。また会おう」
と、しっかりとメッセージを残されている。

コロンビアが特殊なのではない。
安楽死が認められている国は少なくない。
例えばヨーロッパでは、スイス・オランダ・スペインなどが、
アメリカでも一部の州が認めていて、
オーストラリアの一部の州やニュージーランドでも合法化されている。

一方、日本では新年早々いたましいニュースが報じられた。
重度の糖尿病を患っていた86歳の妻を、看護していた86歳の夫が絞殺したというのである。
逮捕された夫は、
「妻がかわいそうで楽にしてあげたかった」
という趣旨の供述をしているという。

現行の法律においてはこうした行為が許されるはずはないし、
妻の意向がどうだったのかも知りようもないが、
もし安楽死、若しくは尊厳死のルールがあったらどうだっただろう。
もっと人間らしい別の道があったかもしれない。

尊厳死を法制化するためには、
本人の意思をどのように確認するのか、
どのような場合にそれを認めるのか、
などなど、様々な難しい課題がある。
死生観にかかわるテーマなので、非常に重い政策決定になる。
しかし、尊厳死の制度があれば救われる家庭も少なくないのではないだろうか。

死ぬ時期を自ら選択するのは、それほど荒唐無稽な話ではないと思う。
医学が発達し、長生きがリスクととらえられるようになっている現代、
尊厳死の制度化にきちんと向き合う時期ではないだろうか。

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映画評 「劇場版 呪術廻戦 0」 [映画評]

「劇場版 呪術廻戦 0」は、予想どおりの大ヒットを記録している。
さすがに「鬼滅の刃」と同等まではいかないだろうが、
100億円超えが確実視される動員を記録している。

タイトルに「0」とあるように、
アニメの1年前が舞台とのことなので、原作・アニメファンでなくても比較的入りやすい。

登場人物のキャラクターはしっかり立っていて、
それぞれの見せ場もある。
映像も丁寧に作られている。
だから、退屈な作品というわけではないのだが、
観終わったあとの爽快感、高揚感はそれほど高くない。

なにかと比較されるであろう「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」は、
猗窩座という敵の唐突な登場が映画としてどうかと賛否を起こしたが、
ヒーロー的な存在の煉獄さんの死と相まって、盛り上がりという点では強烈なものがあった。
本作には、そうしたインパクトはない。
また、散々作られてきた少年漫画系の作品だからやむを得ないことだが、
いろいろな作品で取り上げられてきた要素をあちこちから感じてしまうのも、ふうむ。

もう少し人物を深掘りするか、
クライマックスのバトルシーンをもっとがっつり描くかすれば、
印象は変わったのだろうか。

ネットの評価を読む限り、
原作派の方からの評価も悪くないようだ。
まあ、それならばよかったということだろう。

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映画評 「99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE」 [映画評]

本作はテレビドラマの映画化。
このパターンは、良作である確率が極端に低い。
作り手としては一定のヒットが確実なのでどうしても手を出したくなるのだろうが、映画ファンからの信頼度は異様に低い。

駄作が累々と積み重なってはいるが、なかには、
「踊る大捜査線」のように社会現象的なメガヒットになることもあるし、
「モテキ」のように作品が高く評価されることもある。
なので、なるべく先入観を持たずに観に行くようにしている。

「99.9」というタイトルは、
裁判有罪率が99.9%とされる刑事事件に残りの0.1%の可能性に懸けて挑んでいく、
という意味が込められている。
個性豊かな弁護士の面々が、あれやこれやぶつかりながら真相に迫っていく、という筋立て。
あまりシリアスな話にしてしまうと視聴者がついてこないからだろうか、コミカルな設定にされている。
会話も常に軽妙。
ドラマであればだんだんキャラクターが定着していくからそれでいいのかも知れないが、
映画で一見さんが観ると、まったくしっくり来ない。
大の大人がどうしたのだろう、
と見えてしまう。
笑えもしないだけに、ただ寒い。

映画では、15年前に判決が出されたかなり大きな事件の再捜査を行い、
多くの弁護士を総動員で臨むのだが、
誰がどのように費用負担しているのかしら。

もちろん、コメディ映画であり、シリアスに観たって仕方がない。
残念ながら、制作陣は映画ファンをうならそうなどと微塵も思っておられないようだから、
こちらも肩の力を抜いて、流して観ればいい。
しかし、そう思ってみても、それで面白みが増すものでもない。
事件の真相は想像を超えたものだが、
いくらなんでも・・・。

とてつもなくつまらない映画ではないが、
劇場で公開する意味がどこにあるのか、私にはとても見つけられそうにない。


監督は木村ひさしさん。
「屍人荘の殺人」「仮面病棟」に続いて、ため息をつかせていただいた。

主演は松本潤さん。
香川照之さんが、なにやら大騒ぎされている。
杉咲花さんのはっちゃけた演技が救いと言えば救い。
蒔田彩珠さんが出演されていたが、どうしても芋生悠さんと混ざってしまう。
お二人は「#ハンド全力」で共演されていて、
その後、蒔田さんは「星の子」「朝が来る」といった佳作に出演され、
芋生さんも「ソワレ」「ひらいて」といった良作に出られている。
日本映画界において重要なお二人を混同してしまうのが我ながら情けない。

「99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE」を、期待を持って観に行く映画ファンはいるのだろうか。
もしおられるとしたら、その期待はできる限り捨て去ってご覧になることをお勧めする。
映画という土俵に乗る気もなさそうなので、まともに向き合うと悲しくなってしまう。
ドラマファンの方はどうご覧になるのだろう。
ドラマファンが楽しめれば成功という作品なので、楽しめればいいですね。

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アップルの株価は割高? [経済を眺める楽しみ]

1月5日付の日経に、
アップルの時価総額が世界初の3兆ドルを突破したという記事が大きく取り上げられていた。
見出しは、
「市場、利益30年分織り込む」
となっていた。

この見出しを読んで、普通はどう思うだろう。
「30年分の利益を織り込むなんてとんでもない話だ」
「アップルの株価は説明がつかない高値なんだな」
と受け取る人もおられるだろう。

一方、株式投資をやっている人からすれば、
「利益の30年分と言うことは、PERが30倍ということか。大したことないな」
「PERの30倍をこんなに大きく取り上げるのは何故?」
ということになるかもしれない。

利益の30年分、すなわちPERが30倍であることが割高かどうか。
一概には言えないが、東証の時価総額上位企業である
ソニーの予想PERが26倍、
リクルートの予想PERが43倍だから、
それほどの数字ではない。
ちなみに成長が期待されるメルカリなどになるとPERは100倍を超えている。
つまり、アップルの成長性を見込めば、PERの30倍は割高と言い切れるレベルではない。

アメリカ株は調整知らずの上昇を続けていて、
こんなことがいつまでも続くはずがないと思える。
アップル1社で東証の時価総額の半分に迫る、
ともなると、そんな馬鹿な、という気にもなる。
しかし、期待感だけではなく、業績がしっかりついてきているのも事実である。
アップルだけではなく、
グーグルもマイクロソフトもアマゾンもフェイスブックも強い。
株価が高いだけではなく、収益をきっちり上げてきている。

日経の見出しは、他の企業との比較ではなく、
過去のアップルの株価と比較したときに、かなり過熱感が出ていることを言いたいのだろう。
ただ、今後株価が大きく調整する可能性もあり、先のことはなんともわからないが、
少なくともアメリカ株が期待感だけで株価が上がっているわけではないことは確かである。
アメリカ経済の成長は日本にも追い風である。
恩恵を受けつつ、戦うところはしっかり戦って勝つしたたかさが日本企業には求められる。

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今年も朝は断然この番組 テレ東系「ニュースモーニングサテライト」 [ヨモヤ]

朝、どのチャンネルもニュースを放送している。
しかし、私はどれを見ようか迷うことはない。
断然面白くて役に立つ番組があるからである。
それはもちろん、テレビ東京系の経済ニュース番組「ニュースモーニングサテライト」、
略して「モーサテ」である。

モーサテが始まったのは1998年。
それから、ずっと見続けている。
キャスターは、初代の矢吹藍子さん、槇徳子さんから、
本村由紀子さん、佐々木明子さん、大江麻理子さんらを経て、
現在の相内優香さん、塩田真弓さん、西野志海さんといろいろな変遷があったが、
変わらずためになる番組であり続けている。
凄いことである。

1月4日の2022年第一回目の放送では、新春特別企画として、
【2022年株式相場大予想SP】が放送された。
マネックス証券の広木さん、智剣Oskarグループの大川さん、JPモルガン証券の阪上さん、岡三証券の松本さんといった番組ではお馴染みの面々が一堂に会し、
2022年の日本及びアメリカ株の高値安値、それぞれが現れる時期を予想するとともに、
株価に影響を与えると思われる経済社会情勢などが語られた。

他のほとんどの番組のコメンテーターのように、
「先のことはわかりませんので、ごにょごにょ」
といった言い訳がましい煙幕はなく、それぞれの人が自分の意見を真っ向から話される。
こんなことを言っても視聴者にはわからないかな、
などといった忖度はなく、ズバズバと斬り込んで来られる。
予想が外れた場合の責任を自分自身で背負う覚悟のある方々の姿は気持ちがいい。
それを朝っぱらから放送するモーサテのぶれない姿勢も気持ちがいい。

株をやっている人向けの番組と思って敬遠している方もおられるかもしれないが、
だからといってモーサテを見ないのはもったいない。
経済の基本である株価情報、為替情報はもちろんのこと、
アメリカ経済を定点観測することができるうえ、
中国の最新状況もフォローできて、
地域で頑張っている企業の様子も見ることができる。
朝から満足感一杯の番組を見逃す手はない。

1月5日は新春特別企画の2日目。
テーマは「2022年、為替・債券相場大展望」だそうだ。
これもきっと面白くてためになる。
今年の朝も断然モーサテである。
モーサテ終了後の7時5分以降はさまよい歩くけれど。

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ここのところで読んだ30冊 [読書記録]

ここのところで読んだ30冊は以下のとおり。

「文春の流儀」 木俣 正剛
「税と公助」 伊藤 裕香子
「日本のエリート」 橘木 俊詔
「なぜこの店で買ってしまうのか」 パコ・アンダーヒル
「カスハラ」 NHKクローズアップ現代取材班
「地方自治入門」 入江 容子、京 俊介
「絶対に人い見せてはいけない日野市の職員手帳」
「日本への遺言」 出町 譲
「アイデア大全」 読書猿
「汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師」 手嶋 龍一
「地方議会のズレの構造」 吉田 利宏
「ミュージック・ブレス・ユー!!」 津村 記久子
「日本の経営を創る」 三枝 匡、伊丹 敬之
「負けない日本企業」 江上 剛
「日本の地方政府」 曽我 健悟
「マックス・ヴェーバーの生涯と学問」 黒川 知文
「構造改革の真実 竹中平蔵大臣日記」
「詰むや、詰まざるや」 長谷川 晶一
「会計学入門」 高橋 洋一
「現代日本の官僚制」 曽我 健悟
「大学教授が研究だけしてると思ったら大間違いだ」 斎藤 恭一
「安いニッポン」 中藤 玲
「オシムの言葉」 木村 元彦
「官僚制と公文書」 新藤 宗幸
「ほんとうの自分のつくり方」 榎本 博明
「経済学部タチバナキ教授が見たニッポンの大学教授と大学生」
「法然」 平 雅行
「ショパンの心臓」 青谷 真未
「サラリーマン球団社長」 清武 英利
「ネット時代の地方自治」 久元 喜造
「行政学」 西尾 勝

津村記久子さんの「ミュージック・ブレス・ユー!!」は勢いのある青春小説。ドキドキ感とラストの切なさ、音楽への思い。いつか再読したいと思わせてくれる快作。

「構造改革の真実 竹中平蔵大臣日記」は、小泉改革に飛び込んだ経済学者・竹中平蔵さんの奮闘記。賛否両論ある小泉・竹中改革だが、竹中氏は外野でワーワー言うだけではなく、政権のど真ん中で批判を真っ向から引き受けて厳しい政策を展開された。その重みは格別。

長谷川晶一さんの「詰むや、詰まざるや」は、1992年・93年と2年間にわたって繰り広げられた、西武ライオンズとヤクルトスワローズの日本シリーズを描いたもの。西武の森監督、ヤクルトの野村監督の知恵比べも興味深い。

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映画評 「香川1区」 [映画評]

ドキュメンタリー映画には、当然主張がある。
作り手が、どんなに客観的に撮った、と主張しても、
事実を客観的に撮るだけならカメラを回すモチベーションになるはずもないので、
ひょっとして本人も意識していないのかもしれないが、主張があるのは当然である。

本作は、先に行われた衆議院選挙における「香川1区」の選挙戦を追ったドキュメンタリー。
同選挙区の候補者は3人(小川議員:立憲民主党、平井議員:自民党、前デジタル大臣、町川さん:日本維新の会)だが、主に撮られるのは小川議員。
ライバルの平井議員は、悪役的存在として映される。
その撮り方を批判しているのではない。
もともと小川議員に思い入れがあって映画を撮っているのだからそうなるのは当然である。
平井議員のデジタル大臣時代の問題発言は取り上げられるが、
小川議員の菅前総理をめぐる出自発言は取り上げられない。
繰り返すが、批判しているのではない。
作り手の意図が入るのは当然だと思うからである。

ただ、ちょっと惜しいなと思えたのは、選挙の結果を伝えるシーン。
投票時間終了直後の開票速報で、自民党の単独過半数割れが伝えられ、小川議員の選挙事務所が歓喜に包まれる。
大歓声が上がり、涙を流す人もおられる。
そこがこの映画のクライマックスのようになっている。
しかし開票が進むうちにこの速報が間違っていたことが明らかになり、
自民党は単独過半数割れどころか絶対安定多数を獲得し、
小川議員の所属する立憲民主党は党首が辞任に追い込まれる負け方となった。
ドキュメンタリーであるのなら、ぬか喜びに気づいて沈んでいくシーンを抜いてしまったのはもったいなかった。
絵としても面白いし、
選挙結果を伝えるドキュメンタリーとして事実を省くのもどうだろう。
見たくない、見せたくないシーンだったのだろうけれど。

また、本作は、選挙戦を中心に描こうと決められたのだろうからやむを得ない感はあるが、
小川議員の政治的主張が全く見えてこないのも残念だった。
小川議員に主張がないというのではなく、この映画では見えなかったということである。
いい人である、
熱い人である、
多くの人に愛されている、
ということは伝わってきたのだが、何をしたいと主張されているのか、その具体策がさっぱり伝えられない。
それを伝えてしまったら小川議員のPR映画になってしまう、
と考えておられるのだとしたら、
それを伝えなければPR映画にならないと考える方に首をかしげてしまう。

香川1区の選挙戦の盛り上がりは十分に伝わった。
お祭りのようだった。
あんな選挙戦が日本中で繰り広げられたら、日本の光景は変わってくるだろう。
しかし、そうなった方がいいかというと、ちょっと微妙である気もする。
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2022年 日本株は上に行けるか ~ 経営者が占う株価で思う ~ [経済を眺める楽しみ]

日本経済新聞元旦号の恒例企画
「経営者が占う20××年 株価・景気」。
今年も、信越化学工業の金川会長やユニ・チャームの高原社長など、そうそうたる面々が株価や景気を予想されている。

ちなみに、これまでの日経平均株価予想についての経営者の予想平均値と結果を振り返ると、
2016年の予想は、高値22,300円 安値18,000円、
実際には、高値19,600円、安値14,800円、
2017年の予想は、高値21,750円、安値17,500円、
実際には、高値23,400円、安値18,200円、
2018年の予想は、高値25,440円、安値21,200円、
実際には、高値24,448円、安値18,948円、
2019年の予想は、高値23,925円、安値19,110円、
実際には、高値24,091円、安値19,241円、
2020年の予想は、高値25,450円、安値21,625円、
実際には、高値27,602円、安値16,358円だった。

こうして見ると、2019年以外はかなり外れている。

去年2021年の予想はというと、高値28,900円、安値23,875円、
実際には、高値30,795円、安値26,954円。
高値も安値も下を見過ぎていたことがわかる。

さて、2022年はどうだろう。
経営者の予想を平均すると、
高値32,850円、
安値27,175円
という結果になった。
さらに、35,000円というラインを見ている方も二人おられる。
2021年の終値は28,791円だったから、
下はあまり見ず、
上に行くことが予想されていることになる。

コロナ禍にもかかわらず、世界の株価は力強く上昇した。
日本株はかなり置いていかれた感じになっている。
経営者の皆さんが予想するように、今年はその分を取り戻せるだろうか。
正直なところ、あまり強気になれる要素は無いような気もするが、
株は気分にも大きく影響される。
北京オリンピック・パラリンピックで日本チームが大活躍すれば気分も明るくなるだろうし、
参議院選挙に向けて日本が変わることがわかりやすく示されたりすれば、
投資家のマインドが一気に前向きになる可能性もある。

株価が上がろうが下がろうが関係ない、と思う方もおられるだろうが、
株価が上昇することは日本経済にとってとてもいいことである。
着実な前進がみられる一年になりますように。

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