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映画評 「余命10年」 [映画評]

タイトルからして既視感に満ちている。
しかし、わざわざ映画化するからには、
日本アカデミー賞監督が撮るからには、
なにか違ったものが提示されるだろうと期待する。

本作を映画化するに当たって藤井道人監督が出した条件は、
「撮影期間に1年かけていいのなら」
だったそうだ。
そのかいあって、桜のシーンに始まり、海のシーン、葉が色づくシーン、雪のシーン、
といろいろな絵が撮れている。

ふむ。

だが、これまでに散々取られてきた難病ものとどう違ったか、
どこに心を動かされたか、
となると、正直特にない。
「え、どんな偶然?」
という強引な展開がいくつも繰り広げられるあたり悪い意味で漫画チックであったが、
それも日本映画には定番と言えば定番。

この映画のいいところは、と聞かれたら、
ふむ、
すぐには思いつかないから、ちょっと時間をいただくことになる。

主演は、小松菜奈さんと坂口健太郎さん。
この二人を使うのならもっと何かできたのでは。
坂口さん演じる男性の魅力が伝わってこないのが特に残念。
坂口さんの咎ではなく。
友人役に、山田裕貴さんと奈緒さん。
この二人はいい味。
家族役に、松重豊さん、原日出子さん、黒木華さん、
主人公を支える立場として、リリー・フランキーさん、田中哲司さんと、脇がえらく豪華。
King Gnuの井口理さん、「ドライブ・マイ・カー」での演技が評判となっている三浦透子さんといった個性的な俳優さんが、なぜかちょい役。

ラストシーンまでよくある展開が続く。
逆に言えば、そういう作品が好きな人は安心して観られるということになる。
そういう映画も、もちろんあっていい。
あっていいけれど・・・。

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