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映画評 「太陽とボレロ」 [映画評]

俳優の水谷豊さんの第3作目となる監督作品。
1作目の「TAP THE LAST SHOW」がなかなかの出来栄えだった。

地方都市のアマチュア交響楽団を舞台に、
解散宣言をきっかけに紛糾するメンバーたちの人間模様を描く、
というものなのだが、はて、何を見せられたのかしら。
音楽の素晴らしさを訴える作品でもなく、
人々の絆や土壇場での頑張りを称えるわけでもなく。

人物設定が活きてこないし、
ラストに向けても意味不明の展開。
伏線が回収されるわけでもなく、
奥行きがあるわけでもない。
これは一体・・・。

コメディ仕立てになっていて、
シャカリキになってシリアスに観る映画ではないと割り切っても、
だからまあいいか、とはならない。
お話として成立していないとさえ思える。
指揮者の西本智実さんが出演しておられるのだが、その効果も疑問符の方が大きめ。

主演は檀れいさん。
檀れいさんのお母さん役で檀ふみさんが出演。
せっかくだから壇蜜さんも見たかった。
石丸幹二さんが、大げさかつコミカルな演技で盛り上げる。
町田啓太さん、森マリアさんのお二人は、演技的なことはさておき、さわやかであった。

出演者の皆さんは、楽器の演奏を長期間にわたって練習なさったそうだ。
その成果を示す演奏のシーンもそれなりにあるのだが、
出演者の音楽にかける気持ちを伝える場面はほとんどない。
だから伝わってくるものがない。

「太陽とボレロ」は、残念ながら水谷豊さんの監督としての力に「?」が付いてしまう一作。
脚本も水谷さんなのだが、ふうむ。

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