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もっと多くの人の胸に刺され  ~「ハケンアニメ」の爆死はもったいない~ [映画評]

映画「ハケンアニメ」の興行成績が芳しくない。
公開初週にトップ10入りを逃し、
それ以降も浮上してこない。
あまりの不入りに、ネットでは、
「爆死!」
と揶揄されており、
公開館も急速に縮小している。
観ようと思うと映画館をかなり探さなければならなくなっている。

私はこの映画をとても楽しく観た。
ちょっと首を傾げる展開もありはしたのだけれど、
全体として十分に面白かった。
ここまで楽しませてくれる映画は、年間でもそう多くはないと感じた。

そして、面白いだけではなく熱かった。
映画の内容も熱いのだが、
映画に携わった方々の熱が伝わって来た。

本作のプロデューサー須藤泰司さんは、2014年に原作に惚れこみ、
ついに映画化に漕ぎつけたのだという。
“7年がかりの入魂プロジェクト”
とのことだが、その熱量が伝わって来た。

主演の吉岡里帆さんの、本作にかける思いも受け取った。
いろいろある仕事の一つ、
ではなく、この映画を大切にしていることがよくわかった。

面白くて熱い映画。
それなのにお客さんが入らない。
本当に残念だ。

映画の中に、こんなセリフがある。
「今すぐは伝わらないかもしれません。
いつか思い出してもらえればいい。
誰かの胸に刺さってくれればいい」
そして、
「刺され、誰かの胸に」
と祈る。
「ハケンアニメ」という作品自体がそんな風になってしまった。
惜しい。
もったいない。

宣伝の仕方やマーケティング手法などに問題があったのだろう。
実写の映画ファンにも、
アニメファンにも受けるはずが、
どうにも中途半端になってしまったのだろうか。
内容がいいだけに、残念である。

刺され、と願う。
もっと多くの人の胸に。

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