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書評 「公務員ホンネの仕事術」 [読書記録]

この本の著者である堤直規さんは、現役の小金井市役所職員。
これまでにも「公務員1年目の教科書」などの著作がある。

堤さんの本を読んでいつも感心するのは、その文章力である。
わかりやすく書かれているのはもちろん、
簡潔な表現がテンポよく繰り出されていて、
ストンストンと届いてくる。
この本では50以上の「仕事術」が紹介されているのだが、
最初から最後まで同じテンションでしっかり書き切られているのもすごいと思う。
当たり前のことのようだが、これが難しい。
大抵の本は、途中でダレたり、無理矢理な項目が増えたりするものである。

この本は、「はじめに」で、
『本書の内容の取り扱いにはご注意ください』
と書かれているように、結構、毒の混じった思い切った内容になっている。
さらに、タイトルに「ホンネ」とあるように、本の内容は、綺麗ごとのない実践的なものである。
『上司への幻想を捨てる』
『「迷惑な部下」の悪影響を排除する』
など、ビシビシ際どいところを突いてくる。
しかし、決して身も蓋もないことが書かれているわけではなく、職場で活かせる内容になっている。

だから、
役所での働き方に迷っている人にはもちろん、
もっといい仕事がしたいと思っている人、
「仕事ができる」と他から思われている人、
自分でもそう思っている人、
などにも参考になることが満載である。
上司、同僚だけではなく、
地域の方とのつき合い方や議員との接し方も、通り一遍ではなく書かれているし、
意識高い系の人が陥りそうな罠にも触れられているのも気が利いている。

同僚や、他の自治体の職員の方と接するときに、
「ああ、この人、立派な人なのに、なんだか惜しいなあ」
と失礼ながら思うときがある。(私などは、「惜しい」とも思われていないかもしれないが)
ちょっとだけ行動を変えるだけで、見られ方も変わって、ぐっと世界が広がるのに、と感じるのである。
そんな人たちがこの本を読めば、効果はてきめんだと思う。
この本には、小手先のノウハウにとどまらず、心のあり方といったものが詰まっている。

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