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競争率を高めるのを目的化しないように気をつけて ~ 地方公務員の志願者が減っているとは言うが ~ [ヨモヤ]

ほとんどの人が、景気回復の実感が持てないという。
まあ、そうだろうなあとは思う。
景気回復を感じる要素としては、
物価の上昇を上回る賃金の上昇、
失業率の低下、
の二つが大きいと思うのだが、賃金の上昇が伴っていないということなのだろう。

一方、失業率については、限界に近いくらいに低くなっている。
直近の数字で、
失業率が2.5%、
有効求人倍率が1.63倍
というから、ほぼ完全雇用といっていい。
もちろん、やりたい仕事、入りたい会社などの希望がかなっているかどうかは別の話だが。

今後を展望してみても、人手不足がさらに加速している状況から、人材の奪い合いが一層激しくなる可能性が高い。
2020年春卒業予定の大学生の就職活動が3月1日から早くも始まったが、
どの企業も囲い込みに躍起になることだろう。

さて、こうした企業の旺盛な採用活動の影響を強く受けるのが地方自治体である。
もちろん、国家公務員にも同じような現象は起きるが、少しニュアンスは違う。

そのため、各自治体は、応募者の減少を食い止めようとあの手この手を繰り出している。
その典型的な例が、試験の簡素化である。
具体的には、
これまでは「一般教養試験」と「専門試験」の2つを受ける必要があったが、これを取りやめ、
民間企業と同じ適性検査(SPI)で判定しようというのである。
要は、試験があることが公務員を志望する際のハードルになっているから、これを取り除こうという発想である。
こうした取り組みをしている自治体は非常に多いようだ。

確かに、ハードルを低くすれば、受験者は増えるだろう。
しかし、質が担保されるかどうかは、また別の話である。
役所には入りたいが、専門試験のために勉強するのは面倒、という人をターゲットにしているのだから、玉石混交は避けられない。

自治体が行っている採用試験の倍率は近年下がっているというが、それでも6倍ほどあるという。
定員割れどころか、相変わらずの狭き門である。
一時よりは応募者が減ったのかもしれないが、募集枠をはるかに上回る応募を受けておいて、さらに増やしたがるのはどうなのだろう。
自治体の採用活動が、
どんな人を採用するかより、
競争率を維持することが目的になっているとしたら危うい。

採用の目的は、いい人材を獲ることである。
そのためには、来てほしい人に応募してもらう必要がある。
その方策として何がベストなのか、各自治体の人事担当課は、懸命に知恵を絞らなければならない。
繰り返すが、競争率の向上を目的化してはいけないと思う。

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