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「適温相場」は続くか [経済を眺める楽しみ]

「適温相場」という言葉がある。
適温、というくらいだから、熱過ぎず、冷た過ぎず、ということである。
高過ぎもせず、安過ぎもしない相場環境ということだろうか。
こうした状態は、「ゴルディロックス相場」と言われることもある。
イギリスの童話「3匹のくま」に登場する少女ゴルディロックスが、
くまの家で飲んだスープが、ちょうど良い温かさのスープだったことにちなんでいる。
なんのこっちゃ。

7月3日付の日本経済新聞では、
「景気回復と低金利が共存する『適温相場』の様相だ」
と表現していた。
一般に言う適温相場の定義とは微妙に違う気もするが、ニュアンスは伝わる。

アメリカの株式相場は、昨年春の急落後、一貫して上昇を続け、
ここに来て、ダウ平均は史上最高値を更新している。
株価が上がるのはトランプ前大統領の功績との見方もあったのだが、
大統領が変わっても上げ基調に変わりはない。

アメリカでは景気の回復にともなってインフレも進行しているが、
急速な金融引き締めは当面ないだろうと見られている。
そのため、金利も低いままである。

しかし日本経済新聞は、こうした状況は続かないのではないか、と警鐘を鳴らしている。
その根拠は、
・アメリカや中国の景気回復にピークアウトの兆しが見えていること
・PERが歴史的な高さになるなど、株価の割高感が解消されていないこと
などである。
そして
「停滞感が浮上しつつある経済と乖離するような形での株高は危うさも抱えている」
と指摘している。

どんな相場も、永久に上がり続けるということはない。
アメリカの株価は、
リーマンショック後の最安値を記録した2009年以降、
コロナショック時の短期間の調整などを除きグイグイ上がり続けているから、
「株は下がらないもの」
と錯覚している人も少なくないかもしれないが、そんなはずはない。
いつかは調整局面を迎える。
ただし、「いつかは下がる」と言っているだけでは予想とは言えない。
だから、実際に下がったときに、「自分の言ったとおりだった」と胸を張っても自慢にならない。
当たり前のことを言っただけだからだ。

適温相場は続くだろうか。
私は、しばらく続くと思う。
アメリカや中国の景気がピークアウトしても、
続いてヨーロッパや日本が立ち上がっていくだろうし、
FRBが性急な利上げをすることもなさそうだからである。
これだけ上がり続けると、どこかで調整するかもしれないが、
深押しすることはないのではないだろうか。

危機の後のアメリカは強い。
今回もそれを思い知らされそうな気がする。

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