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映画評 「いとみち」 [映画評]

毎週金曜日の日本経済新聞夕刊を楽しみにしている。
新作の映画評が掲載されるからである
これを見て、週末に観に行く映画を決めることも少なくない。

7月2日の夕刊では「いとみち」という映画がメインに取り上げられていて、
★は満点の5つだった。
そりゃ、観たくなる。

本作は、横浜聡子監督のメガホンによるものであり、脚本も務められている。
青森に生まれ、高校時代まで青森で暮らされた横浜監督が、
全編青森ロケで臨まれたということだから、気持ちの入った作品なのだろう。

内気で引っ込み思案だった主人公が、
いろいろな人と関わり合うなかで自分の道を切り拓いていく、
とまとめてしまうと、よくあるストーリーに思える。
実際、よくある展開なのだが、
しっかりした監督がしっかりした脚本を書き、
演者も気合を入れて演じると、
これが凡庸なものではなくなる。

主人公は、
映画のクライマックスで封印していた三味線に再び手を伸ばす。
これも青春物語の典型的なパターンと言える。
しかし、陳腐にならない。
三味線の巧拙などまるでわからない私だが、なにやらジンと来た。

全編津軽弁。
そのため、何を言っているのかわからないシーンもいくつもあった。
何故か、それさえも心地よく。

主演は、駒井蓮さん。
特訓の甲斐あって、見事な津軽弁と三味線を披露される。
代表作になったと思う。
祖母役の、西川洋子さんが素晴らしい。
役者ではなく三味線奏者なのだそうだが、自然な演技で引き込まれた。
演奏シーンはさすがの凄さ。
その他の登場人物も、バチっとはまっていた。

「いとみち」は、ご当地映画というジャンルに区分される作品なのだろうが、
その枠に収まらない面白さがある。
肩ひじ張らずに観られて、すっと楽しめる。
いい映画である。

おまけ
私が観に行った回は、入場者特典として青森のご当地パンである
工藤パンさんの「イギリストースト」がもらえた。
ちょうど昼時だったので、助かった。
映画が面白かっただけでもありがたいのに、
ご当地パンまで。
ありがたやありがたや。
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